床井雅美著「ジ・アンダーグランドウェポン」に掲載されている数々の兵器の内、IRAが使用したと言われているフルオートモデル・ストック付きのガバメントがあります。 ガバが好きな私としては「色物」とも思えるIRA仕様のガバを製作したくなりました。が、その本にはフルオートの機構についての記載はなかったので、フルオートの機構についてはアームズマガジンに以前紹介されていたフルオートモデルの機構を少し参考にしつつ、オリジナルの部品構成となっています。 私的にはアームズに紹介されていた機構よりも作りやすくしたつもりなのですが、いかがでしょう? |
1.全体の構成 |
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またノーマルウェイトモデルを使用したのは、各加工(特にスライドにピンを打ち込む時)時にHW素材だと脆く割れてしまう可能性があると思われたからです。 ストックやフォアグリップの取り付け基部はアルミの板材の積層です。 後ほど詳しく解説しますが、ストック本体は10mmのアルミパイプを曲げたもの、フォアグリップはガバのプラスティックグリップで真鍮のパイプとポリパテを抱き込んで2枚張り合わせています。 ストックとフォアグリップは取り外すことが出来、隠密行動や密輸〔笑〕に際し場所を取らないようになっております。 |
2.フルオート作動について |
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これが今回私が製作した「フルオート機構」です。 殆どの構成部品はアルミ2mm厚の板を使用しております。フルオートシア(パープルの部分)の軸やトリガーバーにフルオートASSYを取り付けるネジなどは2mmの物。シアに取り付けた延長バー(赤い部分)はアルミのアングル材の角の部分を利用して「曲げ」に対して歪まないようにしてあります。 フルオートシア(パープルの部分)のリターンSPは電動ガンの逆回転防止ラッチのSPを加工して使っています。 さて、先ずはフルオート時の作動を説明いたします。 新設された「フルオートAssy」はトリガーバーと共に動くようになっており、ガバのトリガーアクションに合わせて後方へ向けて平行に移動します。 ここでトリガーを引くと、トリガーバーに押されたシアが写真上で見て時計方向に回転して、ハンマーとの関係を絶たれます。そのことにより、メインスプリングに押されたハンマーが倒れ、グリップ内マガジンのバルブを叩き発射となります。 この時、「フルオートAssy」の「フルオートシア」も「シア延長バー」に当たりますが、どのみちハンマーが倒れればいいので関係ないです。 写真でも解るように「フルオートシア」は今のところ作動には関係なく只何となくその位置にいるだけです。 スライド側、リアサイトの真下あたりに小さな突起が有るのがお解りでしょうか?これが次のステップでフルオート作動の重要な役割をいたします。 そのことにより、「シア延長バー」がこれも写真上向かって時計方向に回転させられ、強制的に(ディスコネクターによりトリガーとの関係が断ち切られているのにも関わらず)ハンマーを倒れさせます。 この後はまた写真2に戻って、ブローバックしてスライドが戻ってきてまた・・・・とのサイクルをトリガーから指をはなすまで繰り返されます。 トリガーから指を放すと、後退していた「フルオートAssy」が前方に戻り、スライド側の突起と「フルオートシア」とがぶつからなくなってしまいます。これで、シアを強制的に倒す物が無くなり、通常と同じようにハンマーがコッキングされたままで止まります。 これが今回製作したフルオートの機構です。お解りになりましたでしょうか? この機構の特徴は、トリガーバーに「フルオートAssy」を取り付けると言うことで、部品点数を大幅に減らし、また、多少寸法的にいい加減でも作動させられると言うところにあります。 また比較的入手し易くまた加工し易いアルミを使用しても強度的に問題無い様です。 |
3.フルオートASSYについて |
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殆ど全ての部品がアルミ2mm板からの積層削りだしです。写真からは確認できないですが、トリガーバーに取り付ける部分なども、フレームの厚み分だけアルミを積層しています。 またトリガーバーは鉄製なのですが非常に薄く(1mm無いです)、2mmのネジ穴をあけたりするのに非常に神経を使いました。トリガーバーが歪んでしまったりすると、マガジンが刺さらなかったり、酷いとトリガーが動かなくなってしまいます。 また、お恥ずかしながら、写真を見ても解るように、分解組立を繰り返す内にトリガーバーに取り付けている2mmの皿ネジがナメてしまい、マイナスモールドを掘って使用してます。 かなりいい加減な加工(表面仕上げなど皆無に等しい)でも十分に作動します。ただし、各可動部はストレス無く回転・移動できるように気を配って下さい。その時に注意しなければならないのは「ガタガタ」ではダメと言うことです。ストレス無く動かす為には多少のクリアランスが必要ですが、余りにそれが大きくなりますと、掛かる力が逃げてしまったり、最悪「破壊」の方向へ力が掛かってしまうからです。 「フルオートシア」の軸のナットは抜け止めに瞬間接着剤を垂らして止めてあります。その軸に共締めしてあるのが、「フルオートシアスプリング」です。これは電動ガンのメカボックス内にある逆転防止ラッチのスプリングを加工して使用しています。 またピンはこの位置ですとフレームと干渉しますから、ピン自体の厚みを0.6mm程削ってあります。又、フレームの方もピンが移動する部分をレール状に一段削り込んでおきました。削り込みにはリューターを使用しましたが、カッターやデザインナイフを使って「削ぎ落とし」ても(時間は掛かりますが)出来ます。 言い忘れていましたが、フレーム右側面には2カ所(フルオートASSYが動くための3mm*17mmくらいの穴とシア延長バーが顔を出すための楕円穴)穴を開けなければなりません。特にフルオートASSYのレールに関しては、大きすぎず、それでいてキツくないそして平行に穴を開けて下さい。 シア延長バーの穴の方はあまり大きくなりすぎず、シア延長バーの動きを妨げなければOKです。 切り子の処理をしっかりやって作動に影響が出ないようにして下さい。 グリップを取り付けてのフルオートシアの部分です。 この状態はトリガーを引いていませんからスライド側のピンとフルオートシアとは接触していません。 フィールドストリップする時は、マガジンを外し、スライドストップを外した後にこのフルオートシアをグリップ内に押し込んでからスライドを前方に外すことになります。 シア延長バーの取り付けに関しては写真をご覧下さい。 まぁ大体の所は写真を見ていただければお解りだと思いますが、大体こんなカンジで作ってあげます。ネジ止めした後、緩み止めに瞬間接着剤を流し込んであります。 今回の作例で失敗したのは、シア延長バーを取り付けるときのシアの削り込みが足りず、シア延長バーの厚み分シアが大きくなってしまったことです。 それによる影響は小さいのですが(セフティーレバーの内側の突起が当たり、削り込んであげました)、やはり見た目キチンとしてた方が良いのかな? それからこの作例、ノーマルシアを使ってませんね。これはノーマルシアでも大丈夫なはずですが、軸が細い旧タイプのシアよりも最近の軸が太い物の方がガタが少なくて良いと思われます。 |