「タニオ・コバ」インタビューVol.2


お待ちかねのVol.2です。もっと長いよん。


 雑談も混じってきました
KOBA:作っている側って言うのは、製品がよく見えているようで抜けているところが多いんだよね。作っている方と使う側というのは見ている方向が違うでしょ。
 だから厳しいユーザーさんに使ってもらって意見を聞かせて欲しい。そうするとね、手抜きというわけじゃなくもっと改良したり出来るからね。そうやって対応してると、自分の所にもノウハウが手にはいるしね。で、(ユーザーに)答えることが出来る。
 むしろ皆さんにお願いしたいわね。お手伝いしてくださ〜いみたいな。
せーの:やはりそれには多くの方のご意見が集まって、初めてそれを分類・統計してやれるわけですね。
KOBA:個人の方一人のレポートというのはその人の状況だけのレポートだから・・・。沢山集まれば、一つの答えになるね。
:今回のロットは100丁と言うことですが、その方々とは特に密に連絡を取り合って行きたいと言うことですよね。
KOBA:特に早くに買ってくれた人たちね。
:さて、え〜っと、製品はまずは固定HOPで出荷されますよね。これは将来的に可変HOPということはお考えでしょうか?
KOBA:考えているんですけどね。一番目立たないところに穴をあけるのはこのスコープマウントの真下になるの。そうすると調整するときにスコープを取らなきゃならないわけ。
 そうすると可変HOPをいやがられない形で実用的にHOPをかけられて、今ある実用新案に抵触しない物にするのか、仲のいいメーカーのHOPを使わせてもらうのかどれにするかって言うのがまだ決まってないの。
:KOBAさんと仲のいいメーカーですと良いHOPが有りそうですものね。では今はどのようにするのか見ている状態だということですね。
KOBA:一番10/22に似合う物はどれなのか・・・。いずれはやりたいね。調整機構としては横から穴をあけてねアマルののキャブレターみたいにニードルスクリューで調整する物になるでしょ?
:HOPの調整に関しては色々な形式が出ていますから実用新案を避けるのは難しそうですね
KOBA:だから避けるのではなくてむしろ「使わせてもらう」方が良いかなと。
:それでは今購入するユーザーには当然バージョンアップもあり得ると?
KOBA:そう。今買った人が後から(可変HOPが)付かないと言うことではなくて、その人たちにも後から付くような形にしたいと。
せーの:ではレシーバーの良い位置にユーザーが穴をあけてということですか?
KOBA:う〜んそれはどうするかなぁ。
:このレシーバーに穴をあけろと言われると非常に躊躇しちゃいますよねぇ。

ここで奥様がお弁当を出して下さいました。ただ、タニオコバさんは盛んに「ピザをとろうよ〜」と言っていました。今度行くときはおみやげにピザを持って行こう。

 気になる価格のお話
:さて、価格のお話なのでがこの\138,000-〜\158,000-という価格はどういったところから出てきたんでしょうか?
KOBA:うんとね。どこでも同じだけど、製造原価があってそれから流通に出た場合と言うこと考えて、そこに初期の金型償却分を乗せていってこの金額が出たの。
:ではかなりお金が掛かっていると言うことですね。
KOBA:うん。でね、お金が掛かったものと言うより、数が少ないと一丁あたりの金型分担分が大きくなってくるのね。
 そこが違う。そこが辛いの。
 でね、金型を消却して安いモデルが出るとしても、初めは高いモデルからなぜ行ったかというと、「改悪」されたくないの。
:ほ〜〜〜。
KOBA:ある程度の金額を出して買った人というのは、変な改造しないから。
 個人が一寸パワーアップしてみてね、「ああこれは暴れ弾が出るからやっぱり元に戻そう」ということなら良いんだけど、いわゆる極悪改造銃屋さんがやるとなると本体の価格が安くないと商売にならないのよ。
 だから一寸高めの設定なの。
:ということは10/22のイメージ戦略的に「高級感のある綺麗な銃」ということで固定したかったのですね。
KOBA:そう。その代わり、高い物を買って頂いたんだから、なるたけ、親切な対応をしたいしわがままも聞きたいと思っているの。それから半年の保証なんかもそうなのね。
:それで四種類の仕上げと四種類のバレルなんですね。
:発表してからユーザーや小売店などから価格についてはどの様な反応が返ってきていますか?やはり高いと言うことでしょうか?
KOBA:値段なりの物かどうかということを聞かれるね。
:高いだけのことはあるのかと
KOBA:それが一番多いんじゃない?
:現在の予約状況はどうですか?
KOBA:やはり現物見ないで予約してくれたかたって言うのは少ないけど.何人かいらっしゃるわけ。その人には「なんだいこりゃ」と言われないような物を作りたいね。
:100丁が1ロットと言うことですが、これに関しては全てKOBAさんが、組み立てるのですか?
KOBA:いや、3人でやる。私とせがれと元MGCの人の3人。
 で、今借りている工場というのが機械加工屋さんなの。そこではいろんなカスタムメーカーやメーカーの部品加工をやってるから。
 だから加工は非常に安定している。だから歩留まりが良いことを要求される部品についてはそこでやるわけ。で、最後の組立や調整はうちの3人でやる。
せーの:と言うことは完全にカスタムハンドメイドライフルと言うことになりますね。セミオーダー的な・・・。
KOBA:それで、こういった(と言って綺麗にアルマイト処理されたバレルを見せて)物に関しては、全部専門業者に任せる。
:あの〜、一般のユーザーが誤解しているところがあって、10/22のこの仕様がマスプロ製品なのではないかと、それこそ一万二万と売られるような・・・。
KOBAさんの奥様以降奥様:半値くらいになるよね。それだけ作れば。
KOBA:それが耐えられるのは金型くらいでしょ。
:そうですね。組み立てるコバさん大変ですよね。
KOBA:それでね500丁作るのも5000丁作るのも10000丁作るのも金型代は変わらないの。
:金型の原価っておいくら位なんですか?
KOBA:これで? これで全部計算すると¥1,500万位になってしまいました。
 
 
(金型の減価償却だけで1000丁作って10000円は乗るわけですね。これにストックや機械加工部品、当然金型成形代、広告費、企画・設計等、\148,000-と言う値段は結構頑張った値段だと思えるのです。)

:他に機械加工部品等乗るわけですもんね。
KOBA:どちらかというと、原価を抑えると言うより「良い物を作りたい」という方向で来てるから。
:1ロットは100丁と言うことで進んでいるんですね。
KOBA:あの、他の部品については300でも1000でも行けるんだけど、ストックが100本単位なわけ。これを300本単位にすると品質が猛烈に落ちる。
:と言うことはプラスティックストックなどにすればもっと多く出せると言うことでしょうか?
KOBA:う〜〜ん。そうすると(1ロットの制作数が増えると)凝った加工は出来なくなるよね。
:と言うのはですね。「金はないけど欲しいヤツ」というのがかなりいまして、私も含めて何ですが、レシーバーの仕上げも黒一色で良いから、ストックも昔のブラックパンサーのストックを付けるから、とにかく(金はないけど)欲しいと。
KOBA:実はね。数が出たらこれをやりたいの(と言ってせーのさん持参の旧MGCブラックパンサーストックを手に取る)。これは(ストック上の繊維状に見えている模様)皆さん繊維だと思っているんだけど、実は繊維はほとんど見えないの。これはね「ひけ」を取るための気泡なの。ガスを注入して発泡させるとこういう模様が出る。
:この金型は今はどこに有るんですか?
KOBA:MGC。
:ってことはコバさんはもう一度これを作りたいと言うことですね。
KOBA:これくらいだと金型代500万くらい掛かる。本当はね、ゲーム用にこういったフォールディングストックを作りたい。
:いずれは安い廉価版も作っていただけると言うことですね?
 極端に言えば私なんかはレシーバーも仕上げしていない(テフロンコートしたままの)グレー地で良い。アウターバレルももっと短くて、サンドブラストが掛かっているだけで良い。ストックもブラックパンサーのストックを加工して付けるからいらない。っていう仕様を出してくれると、嬉しいのですが。
KOBA:メーカーとしてはストック無しというわけには行かないから、こういったプラスティックストックを作るにしてもまた金型代が出ちゃうから。
:ではストックなんかは他のカスタムパーツメーカーに任せちゃったら如何ですか?
KOBA:今話をしているのは「うちから機関部だけを出しますよ」という話は数社のパーツメーカーさんにしてるけどね。
 既存の大きなメーカーは細かいロットじゃ動いてくれないから、割と力のあるカスタムパーツメーカーね。
:そのメーカーは何処でしょうか?今お話しできますか?
KOBA:まだね、固まっていないしね名前はまだ出せないけども、数社から話は来てるよ。
:後は本体がどれくらい普及するかと言うことになってきますね。私の知っているところでもストックをやりたいとはいっているのですが、何分にも数が普及しないことにはと言うことで静観している所もありますね。
KOBA:私の所だけで金型償却しようとすれば、う〜〜ん、500丁。それだけ出れば何とか償却の目途が付いてくるんだけどね。
:と言うことはOEM先の方で上手く数が捌けてくれば、わりと早めに数は行くかもしれませんね。
:OEMするとして、一番ベーシックなもの(黒レシーバー・黒ブルバレル・ストックレス)でお幾ら位で出せそうでしょうか?
KOBA:う〜ん。パーツごとの原価は今出ているんだけど、未だ組み上がった状態での原価も出ていないからね。色々な原価計算があるから、もう少し待っててよ。
:いつ頃までに金額は出そうですか?
KOBA:これは発売までに出さないと行けないね。機関部のみの値段やその辺のパーツ販売のこともあるし。
:生産間隔はどれくらいになりますか?
KOBA:一回生産すればコツが分かってくるし割と早く出来ると思うよ。だいたい40日から60日おきくらいになるのかな?
 木ストが大体60日くらい掛かるんですよ。汎用の厚みの物を活かして作れれば、大体50日くらいで作れちゃうんだけど、で、中ぐりしてから二週間位また乾燥させなきゃならないのね。そうしないと時間が経つと反って来ちゃう。
 結構ね木ストって手間が掛かる。で、このストック(ローズウッドサムホール付き)は厚さが62mmの木を使ってて。でその下になれば52mmって言うのがあるんだけど・・・。2インチのストック材というのは汎用材で一杯ある。
:では安めの木で作った物も出ますね。
KOBA:木さえ有れば1ロットを200丁にすることも可能だろうと言うことで、今考えてる。でもね。じゃぁドンドン安くして行けばいいかというとそれはね、最初に買ってくれた人に悪いから、やっぱり当然高いのはねやっぱり高いの買って良かったと思えるようにしなけりゃならないから。
 (非常に仕上げの良いレシーバーを取り出して)これみたいにもっと綺麗なヘアラインにしたりして、これからもっともっと綺麗に出来るように、この値段でお客さんが「う〜〜ん」と唸るような物にしたいね。
  :それで、サポート体制のことですが、まぁサポートに関してはKOBAさん所は定評が有るのですが、消耗部品ですとか、その他の部品について、その納期ですとか注文方法等はどの様にしようとお考えですか?
KOBA:あのね。いまんとこね。シアとかコッキングハンドルとかハンマーとかそれらの部品はメッキと言うことに決まっているのね。それを「特別にブルー仕様が欲しい」とか言わなければ、すぐに出せます。
せーの:消耗部品はいつでも出せると。
KOBA:すぐに出せますよ。
:パッキンやその他消耗部品についての耐久性はどれ位を見込んでいますか?
KOBA:今のところね、やはり一万発くらいはまともに撃てなければどうしようもないわね。ただ、社内でやる、急いでやる耐久テストとユーザーの手に渡った後の耐久性では違いが出てくるから、そこの所は結局半年保証と言うところでユーザーさんの方でテストを補って貰う形になるね。思ってみない使用法って有るからね。
 もし、こっちが思ってもいないほど耐久性がない部品なんかがあったら、すぐに回収して、無償で供給しますよ。
:ではバージョンアップについては如何でしょう?例えば、リコイルの方に焦点を当てた機関部や逆に発射方向に絞ったもの等の企画はありますか?有ったとしたらその販売方法や情報等はどう伝達しますか?
KOBA:考えてます。全部組み替えられると言うことで、バルブの寸法やシリンダーの内径などを変えたとしても、外寸は変わらないようにするから、組み換えられる。
 将来的に何か後加工が生じた場合は、それはこちらで応じます。
:その場合は無償ですか?
KOBA:簡単な加工だったらそこにパーツ代が存在するわけだから、そのマージンで加工は出来ます。USPの時なんかでも同じ様なことをやってきたから、それをもう一段進めればいいだけだから。
:では、メーカーの方からの「カスタム情報」、例えば、シアのここを磨くと切れが良くなるとか、ここは逆に磨いちゃ駄目だとか、そういった情報は出していただけるのでしょうか?
KOBA:いずれ、インターネットとDMで出します。でね、機関部はナンバリングするから、そのナンバリングで台帳作って管理しようと思っている。
 それが「改悪」に対する抑止力になればと思っているんだけどね。
:では、ユーザー登録は必須ですね。
KOBA:今回うちはどちらの団体にも(ASGK・JASG)所属しません。その代わり協会以上の事をやります。私はMGC時代からやって来たことがあるから。
:非常に聞き難くまたお答え難い質問なのですが、まず、KIT販売、すなわち未組み立て、未仕上げの状態での販売や機関部のみの販売似ついては如何でしょうか?
 OEMと言うことでショップさんには出すと言うことでしたが、一般のユーザーに対しては如何ですか?
KOBA:ショップさんに対しては条件に合わせて対応しようと思っている。
:それは10月下旬くらいからと言うことですよねぇ
KOBA:そう。で、個人のユーザーに対してはそういった意見は有るんだけど、どう言った形でやるのが問題が起きないかと言うのを模索中です。
:後は業販ですね。これに関しては如何でしょう?
KOBA:え〜っとこの四種類に関しては出します。早く数出したいからね。ビンボー会社だから。10/22株でも売るかな?投資しない?
せーの:一株1022円くらいで?
一同:爆笑
:繰り返しになるようですがユーザーのカスタムに対するKOBAさんの希望がありましたらお聞かせ下さい。
KOBA:先ずはね。マガジンの中身とシリンダーの中身は触らないで欲しいというのが有るね。色々な問題が起きるから。
せーの:それはパワーが出てしまうと言う問題ですか?
KOBA:え〜っと、マガジンの方は「ボッカン!」と行くことが有るからね。なかでもね、ガス容積を増やそうなんて、リューターでガリガリやると肉厚のバランスが崩れるとかね、それからネジ四本で締めている(10/22のマガジンはマガジンリップ側から四本のネジで下のガスタンク部分と連結されている)所がネジ馬鹿になっちゃって「ボンッ!」と行くとか。
:ではバルブの交換なんかも禁止したいのですか?
KOBA:それはね。今のエアガンでバルブを交換する事はやっているじゃないですか。事の善し悪しは別として、そんなに問題が起きると言うことはないんじゃないかな。
 あの程度のことは構わない。だからバルブはこうやって外れるようになってる。
:それでは他の外観やトリガーに関してのカスタムはドンドンやれと言うことですね。
KOBA:そうそうそう。例えばトリガー周りだとか。
 その辺の情報はうちからも出して行かなきゃならないわね。
:カスタムメーカーに対して技術情報も出して行くんですね。
KOBA:それはそれで相談に乗ります。
:ただ、もし極悪系のパーツメーカーなんかが、偉くパワーの出るパーツや、違法なガスが使えるようなものを出してきたときには対応はどうされますか?
KOBA:この10/22が市民権を得られないような物にするような物が出てきたときはそれ相応の対応をします。まぁ、抑えると言うよりも、これはこういう問題があるから何とかならないかという事で話をしに行くことは有るでしょう。
 それ以外は俺んとこのふんどし使ったんだから、そのひもを買えとか、洗濯しろとかは言うつもりはないです。
せーの:ほんとに今日は長い間有り難うございました。
KOBA:いえいえこちらこそ


 と言う感じで、取り敢えず「タニオ・コバ インタビュー」は終了です。これで「KOBA 10/22」の魅力が少しは伝わったでしょうか?
 タニオコバさんの情熱と何よりも(未だ空撃ちだけですが)10/22の持つ魅力。
 非常に高価なものですが、それは\148,000と言う価格が安くはないだけで、物の魅力としては十二分に満足出来るものだと言えます。
 そして、今回アップしたインタビューでは書ききれない、あんな話やこんな話も「タニオコバ インタビュー番外編」としてお送りします。
 10/22とは関係ないのですが、みんなが知ってるあの銃の誕生秘話やMGC時代のタニコバさんのお話など、裏話満載で近日お送りします。



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