その後物件1

その後物件2

 私の場合,歩く範囲がある程度限られているので,同じ街同じ通りを何回も歩いたりするわけなんでした。そうするとやはり以前あった物件がどんな風になっているか,そこへ目が行ったりするわけでありますね。
 このシリーズはその名のとおり,以前紹介した物件のその後を紹介していこうというものであります。

 という,その後物件のその2であります。まぁ,折にふれて物件のその後というのは出てきていますけれども,あらためてやるのもたまにはよいかなと。


 さて,まずは一部でたいへんウケのよかった「便器花壇」のその後であります。
 以前は一列のみであった便器花壇が,二列になっていたんでした。そして写真には入っていませんけれども,ちょっと離れたあたりにももう一群。大増量であります。

(以前の物件:ガーデニング物件

 今,世の中は便器余り時代なんでありましょうか。
 それとも,社長(かどうか知らんけれども)のコレクター魂に火がついてしまったんでありましょうか。してみると,ここに並ぶ便器の数々は,実は便器界に名だたる名器ぞろいなのかもしれない。これからブレイクするかもしれないので,今から便器を見る目を養っておくとよかったりするかも。

 あるいは,やはりこの会社では就業規則で「社員は毎朝ここで力まなければならない」ということになっていたりするのか。そして「その結果咲いた花の美しさは賞与査定に影響する」ということになっていたりもするのか。
 その就業規則に魅力を感じた新入社員がたくさん入ってきて,便器増量につながったのかもしれない。しれなくないか。

 または,社員の数は同じだけれども,力むべき回数が1日1回から2回になったとか。出ないのに無理に出さなければならないというのは,苦痛だろうなぁ。
 昼休みにカレーなど食べながらこれを読んでいる方,大変失礼いたしました。


 こちらは,けっこう長いこと当ご近所路上観察ファイルのトビラを飾っている「私物件」のその後であります。トビラにしているというのは,やはり気に入っている物件だからなんですけれども,ちょっと雰囲気が以前と変わってしまっているんでした。

(以前の物件:私物件

 以前は「私」の前に停止線のようなものがあって,「そこで一旦停止して自分というものを見つめ直す」というような妄想をしたわけですけれども,現在は何か切り取り線のようなものが描かれているんでした。

 これは…どういった心境の変化が「私」にあったんでありましょうか。何か嫌なことがあって,世間から隔絶された状態になりたいのか。それとも「私」を切り取って,今の状態から連れ出してくれる誰かを待っているということなのか。

 あるいは,この町内ではこの「私」という文字をめぐって所有権争い,陣取り合戦が展開されているのかもしれない。実はこの「私」という文字は,手に入れると町内の権力を一手に収めることのできる秘宝なのかもしれないんでした。
 明日になると,この点線は「私」の向こう側に移動していたりするのかもしれない。しれなくないか。


 続いて,一部の人にはおなじみ「柳都大橋に行けません」であります。

(以前の物件:遮断物件

 こちらは物件的にそれほど変化があるわけではないんですけれども,以前の物件掲載時との違いは「車は」という追加ハリガミが無くなっていること。その部分が白くなっていますけれども,これは画像を加工したわけではなくて,はがれた部分の地の色が出て白くなっているんでした。
 それから,カンバンの色が3年の歳月を物語っております。さらに背景の建物がけっこう変わっております。でもそれはうちの物件とは関係の無い話。

 で,物件的には変化はないわけですけれども,時代(というほどの年月ではないけれども)が変わると妄想することも変わってくるんでありますね。

 この「柳都大橋に行けません」。今だからこそ妄想してしまうのは,柳都大橋のたもとでこれをつぶやく「ヒロシ」の姿なんでした。「ヒロシです…。柳都大橋に行けません…」
 さすがに3年前にこれは妄想できなかったでありますね。あと2年後にこれを妄想できるかというと,それもまた微妙なところのような気もしますが。

 ちなみに,この写真を撮った数日後にまたこのカンバンを見たところ,「車は」の追加ハリガミはまた貼り直されておりました。もうこれまでに何度貼り直しているやら。

 これを見て,寅さんが怒ったりしないんでありましょうか。あんまり寅さんを名字で呼ぶ人もいないかもしれませんが。

「便器花壇」は新潟市・下所島2あたり。
「私」は亀田町・東本町2あたり。
「行けません」は新潟市・秣川岸通2あたり。

亀田町は以下略。