私物件

私物件


 路面に「止まれ」と書かれている場合には,そこでいったん停止して左右を確認したりするわけですけれども,「私」と書かれている場合には一体どうすればよろしいのか。

 などと考えたりするのだけれども,やはりこの場合も立ち止まるであろうと思われるんでした。ただし,そこで確認するのは左右ではなくて,自己の内面。立ち止まって目を閉じ頭をたれて,「私」というものを見つめなおす。

 そして自分自身というものの確認が出来たら,そこではじめて前へ進むことが許されるという,きわめて奥の深い道。
 私には,とてもこの先へ進むことは出来なかったんでした。


「この先,私道につき進入禁止」なんていうカンバンはよく目にしますけれども,「この先,柔道につき…」とか「この先,剣道につき…」とかだとイヤだなぁ。
 一歩踏み込むと,柔道部員がわらわらと出てきて投げられたり寝技をかけられたりするのね。あるいは精神が剣道部員になったり汗臭いのが気にならなくなったり。

「まんが道」に踏み込むと,藤子不二雄になったり。なに言ってんだか。
 そんなことばっかり考えてるから,「私」を見つめることができないのだな。

 亀田町・東本町2あたり。