露天物件3

露天物件3



「露天物件」というのも3回目でありますけれども,前2回「露天物件」「露天物件2」の対象は主に風呂桶だったんでした。

「露天風呂」というのはもう一般的な単語でありますけれども,あえて「露天」とついているからには,本来「風呂」というのは「露天」ではないということも物語っていると思われるんでした。

 生まれたままの姿で過ごす空間でありますから,文明的な羞恥心を持つ人間であればやはり外に開けっぴろげにはしたくないと思うのは普通であります。

 逆に,本来そういう空間であるからこそ,時々は開けっぴろげの空間で生まれたままの姿になってみたいという,ある意味変態的な欲望を満たしてくれる露天風呂というのが流行るのかもしれませんけれども。そういうことでもないか。

 という長い前置きはさておき,上の写真。こちらは,新潟が誇るコレクター・文化人であるところの久須美雅士さんタレコミによる物件であります。

 西新潟の市街地を走る,交通量の多い国道沿いにたたずむ洋式便器。
以前にもやはり久須美雅士さんタレコミによる「ガーデニング物件」という路上便器物件がありましたけれども,それはすでに役割としては花壇だったんでした。

 しかし,今回の物件は少なくとも外見上は便器そのものであります。すなわち露天便所。露便。
 となれば,ここで行なわれるべきことはただひとつ。その本来密室で行なわれるべき行為を,行き交う通行人や車の見守る中で行なうチャンスが与えられているんでした。

 一度使えばやみつきになるかもしれない露天便所。試してみてはいかかがでありましょうか。隣には洗面台もあり,手を洗うこともできるようでありますね。ロールペーパーは見当たりませんけれども,下には草も生えているので大丈夫であります。


 こちらは,外部に露出した太いパイプが特徴的な建物であります。このパイプを見て最初は何かの工場の設備なのかなと思ったわけですけれども,どうやらそういうことでもないらしいんでした。

 では2階下部からのびるこの太いパイプは何なのかということですけれども,なんだか懐かしい感じのする脱臭扇がついているところから,おそらく2階部分はトイレなんではあるまいかと思われるんでした。

 ということはつまり,トイレから垂直におりるこのパイプの中を,大きかったり小さかったりするあの人体からの排出物が自由落下していくわけで,これは「便路」とでも言えるものなんであろうかと思われるわけでした。

 まぁ,このパイプは不透明だから中の落下物が見えるわけでもないし,2階個室部分も建物の中で内部の様子が見えるわけではないから,なんら恥ずかしいものが見えてしまっているわけではないんであります。
 ありますけれども,この露出した「便路」を見ていると,なんとなく,何か見てはいけないものを見てしまっているような気持ちになってきてしまうんでした。

 小学2年生のススム君は,クラスで隣の席に座っていてこの建物に住んでいる,可憐で優しく白いワンピースの似合うキョウコちゃんが好き。
 しかし,このパイプを見てススム君は
「アア。コノぱいぷノ中ヲ,ぱいぷノ中ヲ,アノ,キョウコチャンノ,カワイラシイキョウコチャンノ,カラダノ中カラ出テクル汚ナラシイモノガ,落下シテ行クノダ。ソシテソノ時キョウコチャンハ,アノ白イわんぴーすヲ,白イわんぴーすヲ,おなかノアタリマデ,タクシアゲテイルノダ。アア…。アア…。」
 などという自分でもよくわからない妄想を思わずしてしまい,青い目覚めを体験してしまうかもしれないんでした。

※ススム君およびキョウコちゃんはフィクションであり,私の妄想上の人物であります。

 しまった。だいぶ「露天」から外れてしまった。
 開けっぴろげに全てが見えてしまうシチュエーションと,肝心な部分は隠れているけれども内部構造が見えているシチュエーション。そのふたつの露出を対比することによって人間の精神構造について深く考察する。というのが今回のテーマだったのだけれども。
 ウソですが。

「露便」は新潟市西区・青山4あたり。
「便路」は五泉市・村松乙あたり。