おトク物件

　さて今回も今回とて，ゴミ置き場のカンバンであります。大意としてはごくありふれたものであって「ルールを守りましょう。守らない人には罰則があります」というものなわけですけれども，細部を見るとなかなか味わいが深かったりするわけでした。

　その味わいの中でも一番のポイントは，やはり最後の「持ち帰えって貰えます」でありますね。意味はよくつかめないけれども，なんとなくお得な感じがするわけでした。

　しかし「ゴミ捨て禁止。もし発見したら持ち帰って貰えます」というのは，どうとるべきなんでありましょうか。
　まぁ，本来の意味としては「不正なゴミ捨てを区長・衛生部が発見したら，捨てようとした人にはそのゴミをそのまま持ち帰らせます」ということなんでしょうけれども。

　ひょっとすると，この辺には有名なゴミ収集家あるいは高貴なお方がいて，その人にゴミを持ち帰ってもらうことができるという栄誉が，ルール違反者に与えられるのかもしれない。

　あるいは，不正なゴミ捨てを発見したら，発見者がそのゴミを持ち帰ることができるという制度なんでありましょうか。他人のゴミなんか持ち帰りたくないような気もしますけれども，この辺りのゴミには何かお宝がまぎれているのかもしれないでありますね。

　まぁ，新潟の人であればご存知であろうと思いますけれども，新潟の言葉は「い」と「え」の区別がはっきりしない，というのが通説なんでした。
　特にお年寄りの場合には書き言葉・話し言葉ともに標準語と異なる表記・発音がなされることがままあるため，本人は「もらいます」と書いているつもりが「もらえます」と書いてしまったりすることがあったりするわけでした。

　であるので，今回の物件は今までにもいくつか物件としている「新潟物件」タイプであるんでした。
　参考物件：小ネタ物件４６等

　あと「第四区町内及び清掃して居ない人のゴミ捨て禁止」ということは，第四区の人はここにゴミを捨ててはいけないのか。ここは四区ではないのか。それならなぜ四区区長が名前を出しているのか。とか。
「清掃して居ない人」というのは「今，掃除中で留守の人」ということなのか。とか。
　清掃の「掃」の字，ちょっと自信なかったのか。とか。

　いろんなことをこのカンバン一枚で考えてしまうわけで，路上観察者にとってもやはりなかなかおトクなカンバンであるんでした。

　オマケ。こちらはもう，昔から来ていただいている方にはおなじみのものであって，毎年物件にさせてもらっているカンバンであります。
　参考物件：その後物件４等

　さすがに息切れしてきたのか，左側のカンバンは去年と同じものでありますね。
　しかし右側は変わっていて，なんというか意地で更新しているような感じであります。表現的には去年の「オオバカ値段」というのもよかったような気もしますけれども。

　内容的には去年の「千円均一」が「大処分」の「大幅値引き中」に。具体的な数字を出さずあいまいにしてきているあたり，いよいよもって「まだまだ続ける閉店セール」感が色濃くなってきているようなんでした。

　私の見ている限り四年間は続いている閉店セール。私が生きている間に終わることがあるんでありましょうか。
　いやまぁ，実際にこのお店の商品はいいものが多くて，お得な買い物ができるんであろうと思いますが。私は買い物したことありませんけれども。

「貰えます」は新潟市・女池西１あたり。
「大処分」は新発田市・住吉町１あたり。