原平翁といっしょ 2

原平翁といっしょ その2

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 一行は,戦火にも大火にも負けずに生き残っている昔からの長屋やハエ取り紙付きの犬小屋を見たり,ネイティブな新潟弁のおばさんに話し掛けられたりしながら,郷土資料館(旧税関)や湊稲荷神社へ。
 当初行く予定だったのを取りやめたつもりだったところへ実は行ったり,見所へ誘導しようと思ったら脇道へ入ったり。路上観察の醍醐味ではあるなぁ。案内する側はたいへんだけど。
 案内する側も,私以外はいわゆる路上観察者ではないので,より大変なんである。歩きながら「壷庭」や「エリマキ」なんかを撮ってても何を見てるのかわからないし。私はその姿をぞくぞくしながら眺めていたのだけれども。

 湊稲荷神社には,前に来たことがあるとのこと。たぶんそれは十数年前のことだと思う(赤瀬川翁や南伸坊大人の著作にいくつか物件の記録がある)のだけど,その辺の記憶は確かなんだなぁ。「老人力,まだまだですねぇ」とツッコミを入れようかと思ったけれどもそんなこと言えるわけもなし。

 
こんな物件の写真を撮りながら笹団子を食べる。

 小学校の近くで写真を撮っていると,休み時間なのか小学生が我々を見つけて騒ぎ出す。
「なんか写真撮ってるーっ」
「こっちも写してーっ」
「そこのカッコイイおにいさーん」

 むぅ。そこまで言われたら撮ってやらずばなるまい。しかし貴様ら,ここにおわすお方がどなたか知っておるのか。知らんだろうなぁ。彼らのうちに路上観察に目覚める物がいるのかどうか。いや目覚めない方が人として正しく生きられるのかもしれないけれども。

 さらに一行は「影だけ残る文字跡」や「得体の知れない鉄塊」などを写しつつ,四ツ屋町へと向かうのでした。
 

 途中の長音寺では写真付きの墓や「墓」とだけ書いてある墓を見る。この「墓」とだけ書かれた墓は南伸坊大人の「路上観察ファイル(ちくま文庫では『笑う街角』)」に「明白物件」として収録されているもので,これも赤瀬川翁は憶えていた。やはり老人力はまだまだ…。

 赤瀬川翁はとにかく犬を見掛けると撮影開始。路上の物件と同じくらい撮っていたかもしれない。路上の猫の写真集も出してるけれども,今度は犬も出すのかな。
 私は歩いてるととにかく犬に吠えられることが多いのだけど,さすが赤瀬川翁は吠えられない。私はまだ修行が足りんのか。あやしいオーラが出てるのか。それにしても,下町には犬も多いということを再発見。

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