原平翁といっしょ 1

原平翁といっしょ その1

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 さて,今これを読んでおられる方なら知っていることと思いますが,私は「ご近所路上観察ファイル」というホームページをやっていて,自称路上観察者なんであります。
 その路上観察者である私を狂喜乱舞せしめる事件が先日(平成12年5月18日木曜日)あったのでした。何があったのかというと,あろうことか,なんと,あの,赤瀬川原平大先生様と新潟の街を歩いてしまったのでしたっ!!

 これはもう,路上観察を志す(いや志すもんでもないけれども)ものであれば路上観察学会の面々と街を歩くなんていうのは夢のようなお話でありまして,その中でも赤瀬川翁の著作から路上に引き込まれた私にとっては,敬虔な神父がキリストに会うみたいなものだったのでした。

 なぜそういう機会が得られたかについては詳しく書かないけれども,簡単に言うと「新潟なじらねっと」のt-nouchiさんのおかげ。ここであらためてお礼申し上げておきます。ホント〜にありがとうございました。ネットやっててよかったなぁ。


 で,ここからが本題。

 5月18日。前日までの天気予報では午前中雨だったんだけど,いい天気。おこないがよかったんだなぁ。
 9時半に赤瀬川翁と路上観察学会事務局の前田さんが来られるということで,その30分前,私を含む案内役の地元住民3人が信濃川・万代橋近くの新潟Gホテルに集まったのでした。

 そのロビーでしばらく打ち合わせ。まぁ,ホントは路上観察に案内人なんかは必要ないわけだけれども,短い時間を有効に使うために目標物というのは必要だし,案内する側される側双方に思惑事情があるのだろうなぁと,思ったりするのでした。
 またそういうのがなければ私も参加できなかったわけだし。

 そのうち地元紙の記者さんやカメラマンも来て説明とかしていると,ついに赤瀬川翁の乗った車が到着した様子。玄関へ出て行くと,ああ,あの赤瀬川原平翁の本物が立っているのでした。
 以前神奈川の方まで講演会を聞きに行って間近で見たことはあるんだけれども,やはりそういうのとは別の次元。今日は一緒に歩けるわけだし。緊張しまくり。

 その後,打ち合わせもそこそこにさっそく街へ。時間はそんなにないし,路上観察は予備知識が無い方が面白いし。路上観察てのは言わば発見することの面白さであるわけです。

 歩き出してしばらくしても私はまだ話し掛けることが出来ず,ちょっと離れたところを歩いていたのでした。やっぱり恐れ多いし,歩いてる時に話しかけられたら迷惑かなと思ったりして。
 で,少し離れたところで見ていると,翁は道すがらの自動販売機を何台かじっくり見ている。私は「ん。今,路上観察界では自動販売機がトレンドなのか?」と思い,意を決して聞いてみたのでした。
「い,今は,じ,自動販売機がなんかアレなんですか?(意味不明)」すると翁は
「ああ。うん。ちょっとおいしい紅茶が飲みたいと思って…」

 なんだ。純粋に何か飲みたかったのか。あー,でもまるっきりマトの外れたことだったけど,会話しちまったよぅ。
 それだけでうれしい私なのでした。


 一行はまず,こんぴら通りにある金刀比羅神社へ。ここは昔の帆船の模型があったりして郷土史的には価値のある所。でも外部の路上観察者にとってはどうであったか。私は朽ちかけのこま犬についてちらっと話はしたけれども。

金刀比羅神社を出る赤瀬川翁

 そしてこんぴら通り商店街にある「ふくすけ食堂」にある「店の料理の味はわからないけど味のあるふくすけ」を見たり,取り壊し目前の名建築「第四銀行住吉支店」,「人の顔にみえる倉」,準備中の「新潟絵屋」などを見つつ,路上の小品にも目を配りながら歩いていったのでした。

ふくすけに近寄る赤瀬川翁

※この辺のものについては「新潟なじらねっと」に写真があるので,気になる方は見に行ってくださいませ(秘宝館・下町遺産など)。



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