原平翁といっしょ 3

原平翁といっしょ その3

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 いよいよ観察行も大詰め。大詰めといっても時間に区切られたものなのだけど。2時間というのは短いものだなぁと思う。見る方もそうだけど,案内する方ももっと色んな所をまわってほしいと思ってるのに。本来なら路上観察なんてものは時間で区切るものではないのだけども,仕方ないところか。

 一行は寄附町,烏帽子町などといういわくありげな町内を通り,「トリットボール協会」の小さな看板を見て「これ何だっけ」などと言いながら本町・四ツ屋町方面へ。

 この辺は昔,新潟の遊郭があったところなのだけれども,その名残の建物を見たりする。

 まぁ,この建物自体にはそれほど深い興味を示さなかった赤瀬川翁,近くの駐車場にあった看板をパチリ。

 おわかりかな? 吉原なんかの遊郭のことを「なか」と言ったのを踏まえてるわけですね。せっかく遊郭へ来たのに,あそぶなとは…。私なら「無慈悲物件」と名付けるところだけど,赤瀬川翁はどんなコメントをつけるやら。

 

 この辺には他にも味わい深い建物があって,時間を惜しみつつ写真にのこしていったのでした。浄信院というお寺はたくさんのお地蔵さんが(普通は)見所なんだけど,それよりはこの赤と黄色の石塀に興味をひかれるのは路上観察者のサガですね。いやこれは路上観察者でなくても目に入るんだけど。


 そして最後に,近くの日和山住吉神社へ。3階建ての家くらいの山を登り,新潟の街を見まわしたのでした(ここからの眺望は,「新潟なじらねっと」のQTVR展望室へどうぞ)。

 うーん。こうしてみると,この住吉神社てのもなんだか風情のあるいいところのように見えるなぁ。いやいいところなんですけどね。観光スポットにはならないよなぁ。なってほしくもないけど。

 そして,この住吉神社をおりたところでお別れの時間。車のお迎えが。名残惜しいのだけれども,記念写真をお願いしたりしてお別れしたのでした。その記念写真はもったいないのでここでは見せたげません。ほほほ。

 で,さらに記念として,持参した本にサインをしてもらったのでした。赤瀬川翁の本は多く持ってるんだけれども,直前まで誰が一緒にくるのかわからなかったんですね。それで一応全員の名前のある「路上探検隊奥の細道をゆく」を持っていったわけです。「おー。これ,絶版だね」と喜んで(?)もらえてうれしい。日和山という名前も入ってうれしいですね。
 
赤瀬川翁にいただいたサインと,私が渡した名刺

 そして私はネット用の名刺を赤瀬川翁に。ちょっと恥ずかしいような気がしないでもないけれども,いいのさ。私の敬愛するもうひとり,なりゆきセンセのキャラだし。ホントは本名や住所なんかも入ってるのですけどね。
 赤瀬川翁の持つ名刺ってのは膨大な数になるだろうけれども,その中にこれが混じってるかもしれないと思うとなんだかおかしい。特異なものとして印象に残るとよいな。


 そして本当にお別れ。
 わずか2時間の出来事だったわけだけれども,私にとっては今まで生きてきた中でも屈指の充実した時間だったのでした。これだけ濃い時間をすごせた私は幸せものだなぁ。
 この幸せを糧にして,これからも路上観察道に精進し,邁進していこうと決意する私なのでした。いやそんな気張ったりしないというのが路上観察の極意であったりするわけですけれども。ほほほ。
−終−


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