スライド重り付きノーズコーンを使って、水ロケットで空中写真撮影に挑戦した。
これはその記録である。宇宙少年団監修、「水ロケットを飛ばそう」(日刊工業新聞社)を参考文献としてオリジナルの改良点を加えた。

スライド重り付きノーズコーン

ペットボトルロケットでパラシュートを開いたり、さまざまなミッションを作動させるためには、何らかのきっかけで動作する仕組みが必要である。利用できる変化は
・噴射終了後の無重力状態(マイナスG)
・圧力タンク内の圧力低下
・経過時間
・ロケットの高度
の4つである。1点目は噴射終了後のロケットは空気抵抗を無視すると、自由落下状態であり無重量空間が発生していることを利用する。2点目はペットボトルロケットのパワー源である圧力タンクの圧力変化を利用するものである。3点目はタイマーなどを使って発射後の経過時間で何かを作動させる方法。4点目はロケットに地上から一定の長さの糸などを垂らしておいて、これがピンと伸びきった状態を利用することが出来る。
スライド重り付きノーズコーンは、噴射終了後にロケット内に発生するマイナスGを利用するものである。

上左の写真は、ソフトトップを外した状態。1本のペットボトルロケットの底を切り取り天地を返してペットボトル内部に押し込んで固定。アルミパイプを軸にして、これに沿ってスライドする重り(ここではナットを連結したもの)を通す。上右図はロケット本体の圧力タンクに取り付け、ソフトキャップを被せた状態。
仕組みは下の図のようになっている。

圧力タンクの上に、このスライド重り付きノーズコーンを載せて発射すると、以下の様になる。

ロケット全体の様子       スライド重り      ノーズコーンの状態





発射台上でセット        下に位置する      圧力タンクにぴったり収まる状態



発射(噴射開始)        強く下方に押される   圧力タンクにぴったり収まる状態



噴射終了直前          Gが無くなり無重量に  圧力タンクにぴったり収まる状態



空気抵抗を受ける        上方へ移動し始める   空気の動圧を受けている



同上              重りが上に当たる    ショックでノーズコーンが抜ける

パラシュートなどをノーズコーンと本体の間の空間に入れておくと、ショックコードが伸びるに連れて引き出され開傘させることができる。

水の量や圧力を変えてノーズコーンの外れ方がどう変わるか観察した。圧力タンクは1500ccボトルを2本連結したWタンクロケットで、ハカマは標準のものより後方まで10cm延長して圧力中心を下げて安定化したもので実験した。
水量を少なく圧力を小さくして打ち上げると、慣性上昇時間が短くなる。ほぼ頂点でコーンが外れる。速度が無いのでパラシュートはすぐに開かず、かなり落下してから全開する。
水量を多くして圧力も7〜10気圧程度まで上げて打ち上げると、ロケットは猛烈な速度に達する。一般のノーズコーンの機体であれば更にかなり上昇を続けることの出来る速度である。スライド重りの付いたノーズコーンは、噴射終了直後から機体より先行しはじめる。すぐにパラシュートが引き出され、強いショックとともに開傘する。パラシュートの開き方は、上に向かって開き、更に上昇しようとするロケットを押しとどめるような現象が見られる。

噴射終了後の最終速度が大きいほどこのノーズコーンは勢い良く外れる。速度が速いほどノーズコーンには大きな動圧がかかるが、重りにはロケット外部の大きな空気抵抗が働かないので軸を滑って移動し、内部の上にぶつかることと、ノーズコーンと本体の弾道係数の違いから生ずる現象と考えられる。

この現象はパラシュートを頂点で開きたい願望には逆らうが、カメラなどを積んだ場合、その起動に使えると考え、水ロケットの空中写真撮影にトライした。

カメラ搭載水ロケットへ続く