ワンポイントアドバイス 

12 丸の意味

 レッスンの時に私がテキストの中の曲などに赤ペンで丸(三重丸か?)をつけるのは、「その曲の練習はとりあえずこの辺で止めておいて、次の曲に進みましょう。」という意味合いです。必ずしもその曲が完璧に仕上がった時に丸をつけると言う事ではありません。しかし丸をもらった曲はもう練習しなくても大丈夫です。もちろん余裕のある人は各自で復習した方が良いですが。
 ひとつの曲を練習して仕上げるまでを考えてみますと、まず最初はかなりゆっくりのテンポで練習を始めて、そのテンポでの完成を目指す。その後徐々にスピードをあげて、かなりの時間をかけてその曲本来の速さに近づけていき本当の完成を目指す。(この辺のことについてはギター通信第169号掲載のワンポイントアドバイス「新曲の練習法」に詳しく書きましたので、読み直してみてください。)
 私が丸をつけてしまう段階というのは、まだゆっくりのテンポであってもある程度曲らしくかたちがついて、その曲で勉強してほしいポイントについても理解してもらえたと思った時です。ですから本当の完成までの途中で切り上げることになります。でもその曲を使ってのここまでの練習が、その人のギター上達の過程の中での有益な練習になった事は間違いないので、その曲のそれ以降の練習にこだわる必要はないと思います。
 もちろん「それ以降の練習」(=「弾き込み」)は本当は続けたほうがいいのですが、すべての曲をそうしていたら大変なことだし、好きでない曲であればそれを弾き続けるのも苦痛だし、必ずしも合理的な練習とも限らない面もあります。もし気に入った曲があったら、そういう曲だけ弾き続けるといいと思います。(この辺に関連して、ギター通信第126号掲載のワンポイントアドバイス「レパートリーを持とう」を読み直してみてください。)
 先日あるサークルの休憩時間中に雑談をする中で、「弾き込み」を全然していない人が結構いるということがわかりました。今課題の曲を練習するだけで精一杯で、そこまで手が回らないというのです。でも「弾き込み」は今課題の曲を練習する前に1~2回弾くだけでもいいので、そう時間のかかるものではありません。ちょっと考え方を切り替えるだけで可能な事です。今課題の曲の練習やレッスンも重要ですが、「弾き込み」も実はかなり重要なことであると認識してください。新たなギターの魅力の発見にもつながると思います。

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