大貧民物件

大貧民物件


 大貧民というトランプゲームをやったことのある人は多いんではないかと思われるでありますね。詳細は書きませんけれども,このゲームはとにかく「金持ちはいつまでも金持ち」「貧乏人はいつまでも貧乏人」という,世の真実をあらわすものだったりするんでした。

 そして,温泉旅行なんかに行って暇つぶしでこのゲームをやるときには,「大富豪」は座布団を3枚敷いて特等席に座り,「大貧民」は冷たい床に座ってカード配りなんかの雑用をする,なんていうルールになったりするわけでした。

 そんなわけで,上の写真。バス停前に並べられた善意の椅子のようなんでありますけれども,ちょっと椅子にランクが付けられているような気がするんでした。
 このバス停でバスを待つときには,「大富豪」は真ん中の家具調の椅子に,「富豪」は事務椅子に,「貧民」はビール箱に座り,「大貧民」は地べたに座ってバス時刻を調べたりの雑用をすることになるんではあるまいかと想像されるんでした。

 まぁ,「大富豪」と呼ばれる人がバスなんていう庶民の乗り物に乗るのか,「大貧民」と呼ばれる人がバスに乗るほどのお金を持っているのかという疑問はありますけれども。


 こちらも,写っていないですけれども手前にバス停があって,当初はバス待ち用に設置されたんではないかと思われる椅子なんでした。

 ただ,もうここに座るためには相当のテクニックが必要なほどに傾いてしまっているんでありますね。そして座り続けるにはさらに体力がいりそうで,立ってバスを待ってる方が楽そうなんでした。

 こちらは最初の物件とは違ってすべて同じ椅子でありますけれども,悪しき平等主義の弊害というか,ひとり倒れてしまうと全員倒れてしまうというもろさを持っていたようなんでありました。

 やはり,ヘタに中流意識を持って横並びになろうとするとダメなんでありますね。どうせ並ぶのなら,いっそみんなで地面に座ろうという気持ちを持っていたほうがいいのかもしれないんでした。
 下の写真は,以前あった「ひねもす物件」中の地べた椅子であります。

 みんな大貧民だと,ゲームになりませんけれども。

「ランク椅子」は新潟市・湊町通1あたり。
「中流椅子」は新潟市・赤塚あたり。
「地べた椅子」は神林村・小口川あたり。