方向物件



 これは以前同じカンバンを物件(一言物件36)にしております。
 前の物件は駐車場の入口に位置していて、カンバンの成因として「駐車場に入っていく進行方向に合わせている」という考察をして「だとしても、これはいかがなものか」という思いを抱いていたんでした。

 そして、今回のカンバンであります。まったく同じものでありますけれども、このカンバンは駐車場の入口ではなく、駐車場の奥に位置しているんでした。
 すなわち、進行方向も何もないわけであります。にも関わらずこの向きで文字が書かれているというのは「製作者の趣味である」という結論にならざるを得ないような気がしてしまうわけでした。

 新発田市。


 こちらは、クリーニング屋さんのカンバンであるようなんでした。
「田岩」というのはクリーニング屋さんのお名前でありましょうか。
 もちろん、田岩さんというお名前があっておかしくないわけでありますけれども、より一般的なのは岩田さんという名前であると思われるので、これを見たときに「あれ。右から読むのかな」と思ってしまうのも無理はない話なんでした。

 はたしてどちらが正解なのかわかりませんけれども、名前を呼ぶときにちょっと躊躇してしまうのは確かなんではないかと思うところではあるんでした。

 新潟市江南区。


 そんなわけで、このような矢印付きの表札(なのか)を見ると、「ああ。このお宅は木村さんであって、村木さんではないのだな」と安心できるわけでした。

 実際は、この矢印は「木村さんのお宅はこちらの方向にあります」と言っているような気もするところではありますけれども「いつも村木さんに間違えられてしまう木村さんが業を煮やして矢印をつけた」という可能性も捨てきれないんではないかと思ってしまうところもあるんでした。

 新発田市。


 それほど、矢印というのは重要なものであります。
 だから、刃物を扱うお店のカンバンにこのような矢印がついていれば、このお店では「修製と理作ぎ」をしてくれるのであろうと、思ってしまうわけでした。

 ひとつの可能性として、この引戸はこの方向に開けてくださいという意味も考えられるところではありますけれども。

 新潟市中央区。