解除物件



 萬代橋を渡ろうとしたらカンバンが立っていて,どうやら
「水道管を解除中」
であるらしいんでした。

 水道管を解除している,というのはどういうことなんでありましょうか。解除しているからには,水道管が使えなくなっているんでありましょうか。それはちょっと大変そうであります。
 まぁ「撤去」とか「閉鎖」とかではなく「解除」なので,一時的なものなんでしょうけれども。

 しかし,もし水道管が「解雇」されてしまったんだとしたら,この不況の空の下,水道管もかわいそうでありますね。これから職安通いが始まるんでありましょうか。
 今までの水道管としての経験をいかした仕事がみつかるといいですけれども,なかなか難しいかもしれないでありますね。

 ハローワークとかでも厳しいことを言われるかもしれない。
「それで,水道管さんはパソコンできますか?」
「いえ…ちょっとパソコンは…」
「んー。最近はそれだとちょっとねぇ…。何か得意なことは?」
「水! 水を流すことなら,自信があります!」
「水ねぇ…。そうだねぇ…(カチャカチャ)。おっ。下水管の仕事なら今あるかもしれないよ」
「えっ…。下水はちょっと…。私のプライドが…」
「あのねぇ。選り好みしてたら,仕事なんか見つからないよ! ホントに就職する気がないんなら,失業手当は出ないよ!」
「でも,でも…。下水だけは…」

 そんなわけで水道管はハローワークからの紹介はあきらめ,あやしげな百科事典のセールスの仕事についてしまうかもしれないんでした。
 ある日あなたの家を水道管が訪れ,高額な百科事典を売りつけに来るかもしれないので,気をつけましょう。

 ということではもちろんなくて,このカンバンは「水道管の工事にともない交通規制を行なっているけれども,現在は規制解除中ですよ」ということを伝えているんだと思われるんでした。

 ちょっと前の「小ネタ物件89」にもあったようなことで,いちいちカンバンを撤去するのも面倒なので「解除中」のフダを貼るわけでありますけれども,その貼り方によってなんだかおかしな文面になってしまうんでありますね。
 工事関係者の方は注意いたしましょう。

「解除中」は新潟市中央区・下大川前通2ノ町あたり。