小ネタ物件80


 さて,小ネタコーナーであります。物件としてはちょっとどうかな? と思うんだけれども,なんだか憎めないようなヤツらを集めてお送りします。本物件とどこが違うんだと思われるかもしれませんが,その辺は「なんとなく」なんでした。

  今回はちょっとショートバージョンであります。本来,ショートであれば切れ味のスルドいコメントが必要なわけでありますけれども,そんな風でもないあたり暖かい目で見ていただきたいわけなんでした。



 こちらはもう,何のおかしなところのないカンバンであります。
「タント」さんとお読みするんでありましょうか。「イタリア料理&バール」のお店であるらしいんでした。

 まぁ,トレンディな(これ自体古い)人であれば「バール」なるものの意味は常識なんでしょうけれども,取り残されて生きている人間としては「バール」といえば工具なわけでした。

 だから,レジの脇に「バール」の陳列棚があって,オシャレにイタリア料理を楽しんだ後に「バール」の品定めをしていくニッカボッカ姿の人たち,というお店の情景がどうしても想像されてしまうんでした。どうしてもじゃないか。

 新潟市江南区。




 こちらはおなじみの横断旗入れであります。上下にひとつずつあって,下にはたくさん横断旗が入っているけれども上のほうはカラなんでした。

 確かに上のほうは小学1年生には高すぎると思われるわけで,使われないのも無理はないような気がするわけでした。
 大人も横断旗を使いましょうとかいうキャンペーンでもあって,その名残なんでありましょうか。
 あるいは,電柱というのは成長するものであって,最初は下にあった横断旗入れが上がっていってしまったんでありましょうか。
 樹木の年輪のように,横断旗入れのある位置で電柱の成長度合いを知ることができるのかもしれないでありますね。しれなくないか。

 新潟市中央区。




「施錠・ロックで自主防犯」ということらしいんでした。「自主防犯」という言葉の意味がなんとなく釈然としないような気もしますけれども,言わんとしていることの意味合いはよくわかるんでした。
 まぁ,「施錠」と「ロック」でどの程度意味合いが異なるのかはよくわかりませんけれども。

 してみるとこの「ロック」というのは「イエ〜イ!みんなノッてるかぁ〜い!」というやつの方なんでありましょうか。ノリが古いか?
 確かに「あそこの息子さん,ロックンロールとやらをやってるんですって。不良ねぇ」とかいうウワサが立つと,泥棒も怖くてその家には入れないかもしれませんが。考えが古いか?

 新潟市江南区。




 こちらは小ネタというよりも本来「その後物件」に入るものであって,以前「俳諧物件」に登場したものなんでした。なかなか「その後」も見に行かないもので。

 という内部事情はともかく,物件は「可愛い犬の糞はどうぞお持ち帰り下さい」というカンバンであります。
 その中の「糞」という一文字に,以前は無かった「くそ」というルビが振ってあるんでした。

 おそらくはイタズラなんでしょうけれども,実はカンバン作者本人によるものかもしれないでありますね。
「これを『ふん』などと読んでもらっては,カンバンの文学的意義が損なわれる。ここでは『くそ』と読んでこそ芸術たりえるのである」
という確固たる信念によって振られたルビなのかもしれないんでした。しれなくないか。

 新潟市中央区。



…結局またあんまりショートにもならなかったか?