ミラー物件

ミラー物件



 なぜか比較的よく物件になるのが,カーブミラーであります。ハリガミと違って特に面白いことが書いてあるわけでもないのに物件になってしまうというのは,路傍に存在するモノの中でも妙な人間くささというのを感じてしまうからなんではないかと思ったりするわけでした。

 人間くささというか,妖怪くささというか目玉オヤジくささというか,そんなもんではありますが。
 人の見ていないところでは,大きなミラー部分が目玉になってキョロキョロしたり,顔になってニヤリとしたりしているんではあるまいかと思ってしまうんでした。思いませんか。そうですか。

 ということで,上の物件。これはまぁごく普通のカーブミラーであります。
 ただ,カーブミラーの標準仕様(なのか?)である「注意」の下にもう一言「歩行者と自転車に」と付け加えられているんでした。

 これはやはり,過去にそういう類の事故があったんでありましょうか。確かに,運転者としてはミラーに映る車にばかり目が行って,手前にいる歩行者自転車を見落とすというのはありがちであります。

 しかし,このように小さなプレートをつけた場合,目の悪い運転者だと「む。注意の下に何か書いてあるな。何だ? んー,もう少しで見えるんだが…。ん,んー」と無意識に前に出てしまい,結果として歩行者と自転車にぶつかってしまうんではないかといういらん心配をしてしまうんでした。

 まぁ,そんなところをキッチリ読みながら運転している人もいないかもしれませんが。でもそれだとこのプレート,ついてる意味ないのであるな。


 こちらはもう,何と言うかもうすっかり妖怪でありますね。妖怪というか,モリゾーというかゴン太くんというかムックというか。目の方はちょっとガチャピンっぽいですが。ふたりの子か? ガチャピンとムックってオスメスあるのか? まぁどうでもいいですが。

 この辺は以前にも歩いていて,そのときには「額縁物件2」というのをやっているのだけれども,今回のミラーはその消火栓のわずか数メートル左であります。
 当時物件にしていないところを見ると,その頃はこういう状態ではなかったのか。あるいは私の感性が変わってきているのか。

 しかしこれだけ何と言うか完成した形だと,意識してやっているのかなとも思ってしまうわけですけれども,だとしても最初にそういう偶然がないと始まらないわけで,それをここまで育てたこの家のご主人(なのか?)はアッパレであると思うわけでした。


 続いてこちらの物件。いったい何を写しているのやらわかりづらいとは思いますけれども,やはりカーブミラーであります。
 そのカーブミラー自体も何の変哲も無いものなんでありますけれども,普通のカーブミラーが交差点の四隅に一本ずつ,四本立っているんでした。

 まぁそれも別段おかしくはない。むしろ理屈として考えれば,交差点の四隅に一本ずつというのは非常に理にかなった,当たり前のことのようであります。
 ありますけれども,実際にこのようになっている交差点というのも,それほど多くはないんではないかと思われるんでした。

 見通しの良い角にはミラーを置かなかったり,一本の支柱にふたつのミラーがついた双頭ミラー(とは言わんような気がしますが)を使っていたりするところが多いようで。
 確かに,よほど見通しのきかない交差点でなければ四本のミラーは必要ないような気もするんでした。鏡が多いと混乱してしまうような気もするし。

 まして,この交差点はそれほど道も広くなく逆に狭くもなく,見通しもそれほど悪くないような気がするわけで,「四本ミラー」が必要なんであろうかと思ってしまうんでした。

 ひょっとすると,この交差点はこの地域の中でも聖域であって,四本のミラーで結界を作っていたりするんでありましょうか。各ミラーは各方向を守護する四天王だったり四神とか言われる霊獣のようなものであって,オレンジの塗装の下は青赤白黒で塗られていたりするんでありましょうか。

 あるいは,この四本ミラーはこの地域の秘密兵器であって,不審人物がこの交差点に入ると各ミラーが一斉に角度を変えるのかもしれない。
 そして太陽光線を収束させた上で一点に集中させることによって,不審人物は一瞬にして蒸発してしまうのかもしれないんでした。その後ミラーは静かに元の角度に戻り,何事もなかったかのようにいつもの街角に…。

 私もこの交差点内を歩いたけれども蒸発はしなかったので,とりあえず不審人物とはみなされていないようであります。
 が,こういった交差点はまだ他にも多くあると思われるので,不審に思われそうな人は交差点を歩く際に四本のミラーが無いかどうか気をつけて通行するようにいたしましょう。

「歩行者と」は新潟市西区・小針3あたり。
「ムック」は五泉市・村松乙あたり。
「ソーラーレイ」は五泉市・村松乙あたり。