ゲージツ物件

ゲージツ物件



 普段このサイトでとりあげる物件というのはいわゆる芸術作品というのとは異なり,製作者がいないんでした。カンバンなどのように実際に製作した人がいたとしても,その製作意図とは外れたところにオモシロさを見出すという点で,製作者はいないわけであります。

 それゆえに芸術作品っぽい物件というのはあまりないわけですけれども,今回の物件はちょっと芸術作品っぽいかなと思えるものなんでした。

 上の写真は,さるお宅の門柱というか門壁というか,まぁそういったものであります。そこにヒビ割れやシミなどができていて,それはよく見かけられるものなわけですけれども,その形がちょっと芸術っぽい感じなんでした。

 下のほう,裸婦っぽい人物像がわかるでありましょうか。では少し拡大。

 髪はセミロングで豊満なボディをお持ちのご婦人が,横顔を見せているように見受けられるんでした。自分で背中を洗っているかのようなポーズとも見える。

 裸婦っぽさを印象付けているのはやはり「首」つきの乳の房であって,特にその「首」部分が決定的なような気がするんでした。

 さらに下のほう,足の付け根的なところには髪と同じように黒い部分がY字型にあって,そこにも髪のようなものがあることを想像させるわけであります。
 そして横顔も目鼻口耳まで描かれているようであって,物憂げな表情となっているんでした。

 まぁ,乳の房は女性のそれというよりは相撲取りっぽいような気もして,そう考えると裸婦というよりも関取がマワシをしたままマゲをおろしているところ,という風にも見えるわけですが。

 しかし,ここまで描かれるとこれはホントに作品として描かれたものなんではあるまいかという疑念もでてくるわけですけれども,それにしてはあまりにも控えめであって,偶然できてしまったものと思いたいところであります。

 ときどき家の壁やら木のキリカブやらに神仏の像が浮かび上がって信心深い人が拝みに来る…というような話題がニュースに出たりしますけれども,これもそんな対象にならないでありましょうか。

 まぁ,裸婦を拝みに来るというと「私はすけべぇです」と自白するようなものなので,拝みには来ないかもしれませんが。


 オマケ。芸術作品っぽくはないですけれども,トマソン,阿部定タイプの木。

 なぜここで切るのか,という感じがするわけでありますね。全部撤去するのが難しくても,もっと低い位置で切ればいいんではあるまいかと,思ってしまうんでした。まぁ,何か理由はあるんでしょうけれども。
 根元に咲く花がいい味を出しております。

 実はこの木,前に赤瀬川原平翁と一緒に歩いたときのレポートにも登場している物件(真ん中あたり)と同一であろうと思われるものであります。だいぶ印象が変わってしまっている。
 んー。あれからもう7年。やはり年月というのは経過しているのだなぁと思ってしまうわけでした。

「ラフ」は新潟市中央区・春日町あたり。
「アベサダ」は新潟市中央区・稲荷町あたり。