水ロケット空中イジェクト装置の作成


多段式水ロケットの空中での分離装置にと考えて作ったオロナイン封入ピストンは、空中写真のシャッター作動装置やパラシュート放出装置にも使え、応用範囲が広いことが解った。

全体写真

ブースターは1.5リットルWタンク、上段は500ccボトルトリプルタンク。
ブースターと上段は発射台と同じ接続装置なので、接続構造補強のためのハカマなどは必要ないほどがっちりしている。

接続部拡大写真

材料;
プランジャー(徳用シャンプーのポンプピストン部分)
ゴムホース
自転車タイヤ用空気バルブ
水道ホースワンタッチ継ぎ手
エポキシ接着剤
補強繊維シート(カーボンシート)
オロナイン軟膏

構造図

作り方;
プランジャーの加工
1.プランジャーをバラしてバネ・鉄球を抜く
2.シリンダーを適当な長さに切る
3.シリンダー内にオロナイン軟膏を詰める
4.ピストンシロッドにシールを付け、シリンダーに最も押し込んだ状態で上が平らになる長さに切断

ホース継ぎ手の加工
1.バラしてバネを抜く
2.発射台製作と同じ要領で自転車用虫を取り付ける(虫ゴムは短めに)
3.下側に接続用ホースを付ける
4.上側にバネを付ける(すこし伸ばして)

ブースターペットボトルに取り付け
1.ホース継ぎ手につけたホースをペットボトル口の内側に押し込む
2.継ぎ手ネジ山とペットボトル口ネジ山を突き合わせる
3.ネジ山にエポキシを塗る
4.補強繊維シートを巻き付ける
5.エポキシが上に滲むようになじませる
6.ビニールテープで強く巻いて硬化させる

ピストン取り付け
1.小径ハンダゴテでペットボトル肩に孔を開ける
2.プランジャーのパイプを押し込む
3.空気漏れがないようエポキシで孔の周囲を固める

ピストン調整
1.ブースターの圧力が高い場合:押し出されたピストンが継ぎ手のスライドリングを押しつけた状態
2.ブースターの圧力が無い場合:ピストンが引っ込んで継ぎ手のスライドリングが解除の状態までフリーになる状態
3.上の二つの状態が満たされるようにプランジャーの位置を調整する(エポキシが固まる前に)
4.位置調整後、ビニルテープでペットボトル口に固定

バネの調整
1.バネの下はワンタッチ継ぎ手スライドリングに固定
2.バネの径を小さくして、PCAJノズルの太い部分の外径より小さくする
3.接着剤硬化後、ブースターに圧力を掛けてピストンが押し出された状態でノズルを押し込む
4.ブースターの空気を徐々に抜いていくと、ピストンが下がってノズルが開放されればOK
5.ブースターの圧力を一気に抜いて、所定のタイムラグを置いてノズルが開放されればOK

タイムラグの量調整
1.ブースター圧力が無くなってからノズル開放までの時間を長くしたい場合は、オロナインを足す
2.ブースター圧力が無くなってからノズル開放までの時間を短くしたい場合は、オロナインを減らす

作動の仕組み


利用法
 ブースターの圧力が抜けると、タイムラグを置いて上段の噴射口が押し出される。(上段に圧力タンクが無い場合でもバネの力でノズルは外れる) これを利用して以下のことが考えられる。

・多段式・・・・・・上段にノズルを持った水ロケットをセットすると、2段式ロケットが作れる
・パラシュート・・・ノズルを外す力でノーズコーンを分離させ、パラシュートを放出する
・カメラ搭載・・・・ノズルを外す力または上段が分離する力でシャッターを切る

それぞれの利点は、
 多段式の場合、噴射終了後慣性上昇させて速度が落ちてから2段目を噴射させるという演出が可能。ただし2段目内は微小(マイナス)重力状態であるから、水タンクと圧力タンクを分けたものでないと、水が浮き上がって空気だけが噴射する場合がある。
 パラシュート装置に使った場合は、スライド重り付きノーズコーンの作動が不確実性と、上昇中にパラシュートが作動するという欠点を補う。タイムラグを調整すれば機体が慣性速度を失って頂点に達したときにパラシュートを作動させることが出来る。
 カメラ作動装置に使う利点は、パラシュートのオープニングショックでシャッターを切る場合は、カメラの向きがそのときまかせであること、パラシュートオープニングショックで画面が流れてしまうことなどがあるが、それに比べて機体が安定して上昇している状態でシャッターが切れるので、写真を撮る方向が選べることや、画面のブレが無いという利点がある。

空中写真撮影

その1

山形県鶴岡市の小真木原運動公園で水ロケットから写した映像。上の写真の右上2コマがとらえた人影はコゲチャ家次男(小学1年生)コブリンの姿。ロケットを回収すべく待機している。上昇中にやや下向きアングルで撮影。写真は左下から左上、右下から右上の順。


その2

タイムラグを調整して頂点でシャッターを作動。角度はほぼ水平方向。打ち上げ場所のサッカーコートから森越しでとなりのアーチェリー競技場、さらに向こうに鶴岡市街地、高舘山?、日本海方向を撮影。撮影の順は左下から上へ、右下から上への順。高度が上がっていることと、機体が徐々に傾いていることが解る。

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