中条工業高校 物理部の場合
馬を射るより将を射よ
熱心な先生が学校でモデルロケットを取り上げようとしたとき、モデルロケットエンジン
が火薬を使っている・・・・・ということから危険視され、理解が得られにくいことがある。
新潟県の中条工業高校物理部(元顧問竹内先生)が同校文化祭でモデルロケット教室とデ
モフライトを行ったのはそういう場合大いに参考になる例であるので取り上げることにする。
文化祭の準備段階では、実施に否定的だった学校側に、いかにして理解を得られたか・・・?
もっと普及するには、何をターゲットにすべきか?
クラブを利用して安全信用を得る
竹内賢一 元中条工業高校教諭 (物理部顧問)
ロケット教室に参加して
そもそもロケットの様なものを飛ばしたいと考えていたところ、地方新聞にロケットを打ち上げ
ている人の記事が出ていました。そして同じころ新潟県教育センターの麩沢先生からモデルロケッ
トという名を聞いたのが最初でした。水ロケットのことかなと思ったのですが良く聞いて見ると火
薬を使うというし、こりゃあ本格的だなと思って新潟市内の模型店を探しました。結局見つけられ
ずにもう一度麩沢先生に佐藤貿易(千葉)を教えてもらい、電話をして色々聞くと、新潟県内にも
クラブがあることを知って、連絡を取りました。ちょうど直後に新潟自然科学館で教室があり、そ
れに生徒と一緒に三日間参加しました。いやあ楽しかったですよ。私のオリジナルは結局失敗だっ
たのですが、だから続けてやってみたいと思ったんですよ。飛ぶんだろうか飛ばないのだろうかと
ものすごくドキドキしましたし、ヤラレタ−ととても悔しい思いをしました。クラブでやっている
んですが、中間試験もほったらかしで夢中になっている生徒もいますよ。文化祭には生徒が先生に
なって工作教室を行い、体験フライトや北信越ロケットクラブを招待してデモフライトもやりまし
た。もう一人理科の先生がいて、そちらも巻き込んでスタータキットを2台買いまして合同でです。
生徒の教室が校長を説得?
火薬を使うというと、物騒な話に聞こえるんですね。というのは文化祭でグラウンドで打ち上げ
る申請書類を学校にだしたら(私の表現も悪かったかもしれませんが)差戻しになってしまったん
です。実際打ち上げて見せれば危険なものではないことは判るんですが・・・・。協会会員に指導
してもらうのだからということで納得してもらいました。
なんやかやありましたが、当日生徒が先生になっての教室には、真っ先に校長に生徒1号になっ
てもらったんですよ。そうしたらもう夢中になってくれました。 生徒も校長に教えるのだから、
すごくはりきって俄然自主性が芽生えたみたい(^_^;;
市販品の流通と値段について
文化祭で来校者にも作ってもらおうということで、十数機買ったんです。スパロとモスキートと
いうのが一番安かったのでその2機種を。品物が届いて驚きました。小さいんですね。あんなもの
で四百円とかするなんて佐藤さんのところはまだ安いというので、じゃあ市販品はどんなもんだろ
うと・・・・、スタータキットだと1万円以上もするんですね、街場では。信じられ無いなあ・・
・とても手がでませんよ。とにかくもっと普及するとかして、国産品なんかが作られて安くならな
ければ教材に使えるベースが出来ませんね。いくらだったらいいとか一概には言えないんですが、
一つ作ったら次にはもう少し大きいのとか、複雑なのとかやりたいじゃあないですか。だから筒が
巻ける紙が十枚くらいとミニ・レギュラ−サイズエンジンマウント内型と、パラシュート用フィル
ム、数種類のバルサ棒や、フィン用板が入っていて、小さいのなら十機くらい、大きいのなら二機
しか作れないっていうような感じで、一セット三千円なら安いと思います。
流通面は今のとこしょうがないのかなと思います。やっぱり火薬ってことで多少抵抗感があるじ
ゃあないですか。学校や社会教育の工作教室なんかで基礎を勉強して、そう言った場でこういうと
ころで売っているよって教えられて・・・というようなことで当面仕方ないんじゃあないですか。
大人の間にもっと普及
あちこちでもっと打ち上げて見せれば好いと思いますよ見せれば絶対やりたくなる。でですね、
なんとなく子供のものってイメージがあるじゃあないですか。本を見ても写っているのは子供ばか
りだ。大人がいない。アソビととれちゃうんですよ。全国各地に生涯教育センターが有りますよね。
モデルロケットは本当は一生涯できることですよ。協会はああいったところに働きかけて、まず一
般の大人から動かせばいいと思いますよ。お金も持っていますからね。
市販品の種類についても、キットばっかり増えてもつまらないですよ。キットは面白くない。身
近にあるものを色々集めて、設計して、作って、一生懸命飛ぶんだか飛ばないんだか心配して・・
・・・、それだけやれば成功しても失敗しても得るものが大きいですよ。
安全で楽しくって色々な思いができるのでとても好いと思いましたよ。キットじゃあそんな感動は
ないですから。始めに体験させてもらったのが自然科学館の教室で、幸運でした。店で見かけて自
分でやって、値段の割にはなあと思ったらそこまでだったかも知れません。
もし転勤したら、次の学校でもやるつもりです。理科といっても化学が専門なんで、ちょっと違
うかもしれないんですが、やりたいことやっていますから。学校教材としての普及ということなら、
県教育センターがロケットに興味を持っていますから、そちらにも働きかけてます。
詳細についてのお問い合わせは、
現在は新発田高校教諭 竹内健一まで。
郵便番号957 新潟県新発田市豊町2-2-12 電話0254(22)5705