3本の矢の教えとは

各人自由気ままに振る舞え?

もしろロケット雑技団、東京支部のしおたさんが、現在取り組んでいる芸が「3本の矢」。この名前は、そう、毛利元就が毛利・吉川・小早川の3兄弟に残した教訓から来ています。

目指すフライトパフォーマンスは、はじめ1本に束ねられたロケットは、空中で三機のロケットに分かれ、そのまま花が開いたように3方に上昇する・・・・・・というもの。アメリカ製のキットがヒントになっているようです。そのキットはA型のミニエンジンを使うモノで、4本のロケットが束ねられており、全長30cmくらいの可愛い機体です。96年のコスモス祭で日本初お目見えしました。Aのブースターエンジンが手に入りにくい・小さくて良く見えない・・・・ということがあり、しおたさんはとうとうD型エンジン用にこのデザインを改良して、作り上げてしまいました。

・黄・青の3色に塗り分けられた大型3本の矢。今年の夏の道川に試作機が持ち込まれました。このときはカーテンレールのスライダーのようなもので、3つの機体をそれぞれ固定する様になっていました。セットが大変。長身のしおた&MIEコンビでも更に背伸びをしないと手が届かないくらい。ちょっと力を入れすぎると、セット中にメキっといって、壊れたりしていました。

定はマグネット方式 コスモス97に再び姿を現した、「3本の矢」号。機体の固定方式が、磁石に改良されていました。ですからセットは非常にカンタン。カチッカチッカチッカチッと手際よく発射台の上にセットされていきます。ホラ、カメラの方を振り返って、笑顔を見せるほど、余裕があるでしょう?! マグネットによる機体の固定方法は、まだ聞いたことがありません。うまくいけば世界初かも。

体のギミック(仕掛け)は次のようになっています。ブースターは3本のD12−0エンジンがクラスターで取り付けられるようになっています。ブースターは大きめの3枚の尾翼があり、切り離したあとはタンブルリカバリーで回収します。

上段(アッパーステージ)はそれぞれ別々の3つのロケットです。D12−3または5・7などの上段用エンジンを取り付けます。モデルになったキットではそれぞれ1枚づつフィンが付けられていました。夏バージョンではやはりそれぞれの機体に1まいのフィンが付けられていましたが、2段目が空中でまっすぐ上昇しませんでした。よっていっそのこと尾翼が無ければいいのカモしれないと、秋バージョンの上段は尾翼無しでの挑戦でした。


中でのパフォーマンスはおおむね成功。1段目はキレイに3本とも点火し、機体はまっすぐ上昇。順調に上段に点火。ブースターは切り離され、タンブルしながら地上に降下。2段目は1本はそのまま、まっすぐ上昇。1本は横方向に。もう1本はその場でグルグル旋回。3本の矢は、それぞれとても個性的な運動を見せました。(1段目がかなりパワフルな仕様になっているので、2段目始動は100mくらいの上空。地上からは安心して見守っていることのできる高さです) 戦国時代の3本の矢の教訓は、「3本(人)が同じ方向を向いて協力すれば、恐いモノはない」・・ということでしたが、コセイが尊重される現代では、「3兄弟は同じことをやってはいけない」それぞれ個性的な道を歩むべきだ・・・・・という教訓でしょうか? 3本の矢はそれぞれ色とりどりのパラシュートを開いて、アッチコッチてんでばらばらに軟着陸しました。