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●へつり

「へつる」の語源が気になり、広辞苑で調べてみました。「へつる」→「へずる」上前をはねる。少し削り取る。の意味らしいです。
渓流釣りでは、水線付近の岩壁をハーネス(安全確保用のベルト)をつけずにトラバース(岩壁を水平方向に移動)することをいいます。クライミングや後述の高捲きとはニュアンスが違います。へつりの場合、滑落しても数メートルか、水中に落ちるだけですので、危険性はそれほど高くありません。釣り竿を片手に、ちょっとしたフリークライミングをするようなものです。

◆ルートを探す

最適なルートを見つけられるようになれば一人前です。はじめのうちは、試行錯誤すると思います。色々な経験を積んで、技術が身に付きます。手っ取り早く覚えるには、経験者に同行することです。どこに手をかけで、どのように移動するのか?自分ならばどうしただろうか?と常に考えながら、同行者を観察しましょう。それから、より安全に速くなるように、自分なりに工夫してみましょう。世話人の今までの経験では、釣り人はだいたい同じルートを見つけるようです。沢登りの人や、登山者は全く違うルートを通ることもあります。学ぶべき所からは、いっぱい学んでしまうのが上達のコツです。
あと、へつる時、無意識に上へ登ってしまう傾向があるようです。高いところほど滑落の危険は高まります。へつるときはできるだけ低くを心掛けて下さい。水中に思わぬホールド(手や足でつかまることのできる箇所)が見つかることもよくあります。

◆滑落にそなえる

ルートを選ぶ際に、注意することがあります。滑落のリスクを判断することです。楽だけど、落ちたら危ないところ。難しいが、落ちても大丈夫なルート。選ぶのはあなた自身です。渓流での遡行は、常にリスク判断の連続です。世話人はどちらかと言えば、落ちても大丈夫なルートを選ぶ傾向があります。

◆へつりやすい岩、向かない岩

手や足でつかまれるホールドがたくさんあれば、多少オーバーハング(斜度が90度以上)気味でも大丈夫です。逆にホールドが全くないと、45度くらいの斜度でも十分滑ります。雪解けの直後は、岩が泥で覆われている、いわゆる「どろ付き」になっていることがあります。これも滑るので、注意して下さい。
登攀用語で「三点確保」という言葉があります。両手両足のうち、三つは常につかまっているようにすることです。へつりでも、三点確保を意識しましょう。(釣り竿を片手に持っていると、二点確保になってしまうことがあります。)

◆竿や道具に注意する

自分の荷物が、岩や枝にぶつかってバランスを崩すことがあります。フィッシングベストや、首にかけた餌箱、腰の竿ケースや折り畳み式のタモ、背中のリュックなどが、ちょっと引っ掛かっただけで、バランスを崩して、あなたは落ちてしまいます。
できるだけ、手には何も持たず、両手をあけておくこと。荷物や道具はコンパクトにまとめておくこと。万が一、滑落したときには、着地(着水)までに体勢を立て直す意識を持つこと。これらを心掛けましょう。着水するつもりなら、荷物の防水対策も忘れずに。眼鏡やコンタクトの人は、落ちたときの衝撃で、ずれたり、外れたり、なくすことがあります。しっかりと固定させるか、予備を用意しておいたほうが良いでしょう。

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