CIE 表色系

色は赤、緑、青(RGB)の光の三原色を組み合わせて表現できます。この三色を加色混合することで、すべての色を表現しようとしたのが表色系です。代表の三原色にはR(波長:780nm)、G(波長:520nm)、B(380nm)を選び、様々な色を表現しようとしました。「nm」はナノメートルで、10億分の1メートル。昔はミリミクロンなどとも呼ばれていましたが、現在のメートル法ではミクロンという単位は存在しないので使いません。
ところがうまく行きませんでした。光の三原色を組み合わせても表現できない色があったのです。理論上はうまく行くはずでしたが、様々な青や緑は、三原色をどう組み合わせても表現できなかったのです。
そこで、RGBにかわりXYZの三刺激値を元にした表色系を作ることになりました。
XYZはそれぞれRGBを組み合わされたもので、単一のスペクトルでは表現できない値です。
実際には、
X=2.7689R+1.7517G+1.1302B
Y=R+4.5907G+0.0601B
Z=0.0565G+5.5943B
という換算式によって算出されています。

Xは主に赤色の刺激値ですが、青の色刺激も含んでいます。Yは明るさと緑を表します。Zは青の色刺激です。
そしてこのXYZという三刺激値ですべての物体色と光の色を表すことに成功しました。マンセルやオストワルドの色立体は物体の色しか表せませんね。
ところがXYZ系では3次元の表現方法になります。もっと表現しやすくするためにYxy系が使われます。
小文字のxは全体の中に含まれるXの割合を表しています。同様にyはY成分の割合です。xとyは割合ですから、これが決まればZの割合も決まります。
次に、XYZのどれか一つの値が決まれば、すべての色を表現できるようになります。Yは明るさの刺激値もふくむのでYを使うことになりました。
こうやってCIE(国際照明委員会:Commission Internationale d'Eclairage)は CIE Yxy表色系を作りました。

CIE表色系 xとyを軸にとり、グラフに表すと、光のスペクトルは原点付近から上に向かってのびてゆき、カーブを描いて右下へ下がってゆきます。このカーブの両端の光の混合で表現できる鮮やかな青紫から赤紫は、この両端を結んだ直線上で表すことができるので、この直線を純紫軌跡といいます。
また、無彩色はx = y = z = 1/3ですので、このカーブの中心付近に白色点(W)が位置します。
大文字のYの値は光源色の場合はルックス(lx)で、物体色の場合は視感反射率(%)で表すことになっています。

色再現域 プロセス印刷物(CMYK)での色の再現範囲と、カラーCRTの色再現域をCIE Yxy表色系と重ねると、このようになります。
印刷物は可視光スペクトルの中波長域(緑)で再現できない範囲が広くなっていますが、シアンやイエローの領域では再現範囲が広くなっています。
CRTはバランスよく色の再現域がひろがっています。
この図を見れば分かる通り、印刷物ではCRTの色を完全には再現できませんし、逆にCRTも印刷の色を再現できない範囲があります。もちろん、どちらも可視光の領域をすべて再現することはできません。

このYxy系は1931年に提案されたものです。
Yxy系では緑のスペクトルの範囲が大きく割り当てられて、逆に青と赤のスペクトルの末端付近は割当が狭くなっています。また、無彩色の白点が紫側に寄っているので、緑系の領域がとても広くなっています。

Luvこれをできるだけ均一にしようと Luv表色系が提案されました。
明るさはYにかわってLightnessのLを使い、xとyは、uとvになりました。現在でもカラーテレビや写真業界で利用されています。
現在のL*u*v*表色系はさらに修正が加えられ、JIS Z 8729に採用されました。
L*、u*、v*の値もXYZから算出します。

Labその後、光のスペクトルを考えず、心理的な四原色をつかう色空間が考えだされました。
L軸は明るさで、赤と緑をあらわすa軸と、黄と青のb軸を採用しました。
CIEが改良しCIE L*a*b*として制定されています。
a*+側は赤、a*-側は緑。b*+側は黄で、b*-側は青です。a*軸とb*軸が直交する点が無彩色になります。
とても理解しやすくなっていて、DTPや印刷業界のほかに、塗装や染色の世界でも利用されています。
L*、a*、b*の値もXYZから算出します。

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