お手入れの歴史

 京都における和装品のお手入れ業は、きものの誕生と共に発生したと考えられ

伝説によりますとその昔、鴨川で友禅染を洗って河原に干しておいたところ、

東山より飛んできた鳥がその生地に糞を落としていったそうです。  

そこで慌てて水洗いをしたところ、その部分だけ染まっていた色が抜けてしまっていました。

つまり鳥の糞の中にある消化酵素が、染料を抜き去ってしまったのです。

そのような偶然の連続から、和装品についた汚れやシミを取る技 法が開発され伝えられてきたのでしょう。  

正式な文献によりますと、今から二七〇年前の享保一四年、

中御門天皇の御世に朝廷の方々のお召しになる衣装を納品する際、

難点を調べて除去する「お手入れ師」が設けられたとされています。

それ以降「幾久屋」「桔梗屋」と言う二大流派により技術が受け継がれ今日に至っております。  

当方も桔梗屋の流れを汲み、大正年間より和装品のお手入れ一筋に励んでおります。

その間、様々な道具・設備の発達によりまして、シミや汚れに対処できるよう努めておりますが、

作業の基本は今も変わらず手仕事です。

 

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