ファンタジー、シャコンヌ / S.L.ヴァイス
リュート奏者のシルビウス・レオポルド・ヴァイス(1686−1750)はドイツの宮廷音楽家として活躍したが、作曲したリュート作品は580曲にものぼります。「ファンタジー」は原調ハ短調で、ギターではホ短調で演奏されることが多いが、今宵はニ短調にて低音の響きの充実をめざします。前半のアルペジオ風の自由な音の流れと、後半の厳格なフーガとの対比が特徴の短い作品です。「シャコンヌ」は元は旋律楽器とリュートとの二重奏作品であったものが、旋律のパートが失われたとのことですが、リュートパートのみでも十分魅力的な楽曲です。
フーガ BWV 1000 / J.S.バッハ
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)はリュート奏者のヴァイスとも親交があったようだが、この「フーガ」は無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番(BWV1001)の中のフーガを、おそらくバッハ自身がリュート用に編曲したものといわれています。
今日ギターで弾かれるバッハのフーガの中で、もっとも充実した曲と思われます。
練習曲 OP.6 - 11 / F.ソル
古典派ギター音楽の最高の作曲家(兼ギタリスト)であるスペイン出身のフェルナンド・ソル(1778−1839)は、パリ、ロンドン、モスクワ等でバレエ音楽の作曲家としても名声を博し、声楽曲等の作曲も得意としていました。巨匠アンドレス・セゴビア(1893−1987)はソルが作曲した多くの練習曲の中から、生徒の技術の向上の為ばかりでなく、演奏家が技術の高さを維持していく為にも有益な曲を20曲選びましたが、それは現在でも上級者の貴重な必須レパートリーとなっています。第17番にあたるこの曲は、アルペジオにのせて深遠なメロディーがとうとうと流れていきます。
アラビア風奇想曲 / F.タレガ
フランシスコ・タレガ(1852−1909)はコストやメルツ以降、音量のあるピアノに押されて衰退していたギターに新しい命を吹き込み、近代的な奏法を確立しました。「アラビア風奇想曲」は彼の代表作として「アルハンブラの想い出」と共に最も有名で、よく演奏されています。
クリスマスの歌、ワルツ 第3番 / A.バリオス
アウグスティン・バリオス(1885−1944)は南米パラグアイに生まれ、諸国を遍歴したすえエルサルバドルに没した天才的な作曲家兼ギタリストです。「クリスマスの歌」はビリャンシーコと呼ばれるクリスマス・キャロルで、ニ長調だがゆったりとした8分の6拍子のメロディが美しい。「ワルツ第3番」はショパンのワルツを思い起こさせるが、やはり中南米風で哀愁のあるニ短調のワルツです。
マズルカ=ショーロ、前奏曲 第1番 / H.ヴィラ=ロボス
中南米最大の作曲家といわれるエイトル・ヴィラ=ロボス(1887−1959)はギターの機能を十分知り尽くしていた為、「5つの前奏曲」や「12の練習曲」などのギター作品は、学習者にとっても演奏家にとっても重要なレパートリーとなっています。「マズルカ=ショーロ」を含む「ブラジル民謡組曲」は比較的若い頃の作品ですが、ヨーロッパ音楽とブラジル音楽の魅力を合わせ持つ作品です。
ベネズエラ風ワルツ 第2番、第3番 / A.ラウロ
ベネズエラ生まれの作曲家アントニオ・ラウロ(1917−1986)はヴィラ=ロボス同様ギターは得意で、数多くのギター曲を作曲しました。多くのベネズエラ風ワルツの中からアリーリォ・ディアス(ベネズエラ出身のギタリスト)は4曲を選び出版しましたが、今宵はその中の2曲を演奏します。
11月のある日 / L.ブローウェル
キューバ生まれのレオ・ブローウェル(1939− )は南米を代表するすぐれたギタリストですが、作曲・指揮等幅広く活躍しています。そのギター作品は前衛的なものが多い中で、この曲は映画音楽として作られたゆえか、どこか懐かしい美しいメロディーの、最近大人気の曲です。
さくらによる主題と変奏 / 横尾幸弘
日本古遥「さくら」をテーマにした変奏曲は他にもいくつかありますが、横尾幸弘(1925− )が作曲したものは、ジョン・ウィリアムスが演奏して以来世界的に有名になり、多くのギタリストに愛奏されています。
古代舞曲 第1番、第2番 / 清水 環
清水 環(1915− )はギターを保坂益朶、小原安正に、作曲を弘田龍太郎に師事した女流ギタリスト兼作曲家です。「岩戸の舞」という神社雅楽のテーマを二つに分け、それをもとに古代舞曲第1番、第2番として作曲し、アンドレス・セゴビアに献呈した作品です。それを機会にセゴビアは日本の雅楽に興味を持ち、殊にその和声は非常に新しいと言って喜んでくれたそうです。ギターのオリジナル曲として後世に残る見事な作品です。他に「中国地方の子守歌」の編曲は有名で、あたかもギターのオリジナル曲であるかの様な卓越した作品です。