ウォーター物件
ウォーター物件
入口が両開きの引き戸になっていて,引き戸のガラスにはカルピスのシールが貼ってあるような「昔ながらの風情の商店」といった感じの,お宅というかお店の前であります。何を売っているのかあるいは売っていないのかは,カーテンに隠れてよく見えませんでしたけれども。
で,その入口前にあるのが,この水道の蛇口なんでした。こういった屋外にある蛇口というのは蛇口が単体でポンと置かれていることが多いわけですけれども,ここの蛇口はそうでなく,色んな付属物がついていて「仲良し蛇口グループ」とか「蛇口捻郎とウォーターバンド」みたいな感じであります。
蛇口の下には白い手洗い陶器…というのか何というのか,居酒屋とか狭いトイレなんかについていそうな,まぁそういうやつ。そして配水管のついていない手洗い陶器から出てくる水を待ち受ける,大きな青いポリバケツ。さらに,緑色のホース…。
む。このホースがついていると,手洗い陶器は必要ないというか,ジャマなんではあるまいか。実際,ホースの先端は陶器を外れてバケツに直接向かってるし。
これは…イジメでありましょうか。ホースと陶器はケンカしているのか。仲良しに見える彼らにも影の部分があったりするんでありましょうか。
まぁ,長いこといっしょにいると,音楽性の違いとかそういうのが出てくるのかもしれませんけれども。
てなことを妄想しつつ,後日,ほんの3〜4日後というくらいだったのだけれども,同じ場所を通ったら,メンバーにちょっと変更があったようなんでした。
件の緑色のホースが,黄色くなっていたんでした。緑ホースは,やはり音楽性の違いから脱退してしまい,黄色ホースが入ってきたんでありましょうか。
あるいは,よく見るとホースの上の部分は緑色なので,緑ホースが妥協して自らのカラーを変えたということなんでありましょうか。
まぁ,色は変わっても陶器との仲は相変わらずで,状況は何も変わっていないようではありますが。
手洗い陶器はわざわざ取り付け用の板まで立てて設置したはずなのに,ないがしろにされている感じでありますね。
おそらくはホースの方が後付けだと思われるわけですけれども,やはりホースの方が便利だったんでありましょうか。
それとも,このお店の女主人・佐藤リクさん(82)の夢枕に15年前に亡くなったご主人が立って,「リク,ホースを使え」とか「ホースが共にあらんことを」とか言ったりしたんでありましょうか。
「ウォーターバンド」は新潟市・雪町あたり。
※言わずもがなでありますがこの話,もちろん全て私の妄想力の産物であります。