殿様物件
殿様物件
木製の電柱に貼られた,火の用心を呼びかけるハリガミであります。
いや特におかしなことが書かれているわけではないんですけれども,「わが町」を「みんなで」守る,というのがなんとなく「ここは個人所有の町であって,住民は所有者に住まわせてもらっているのか?」という妄想をさせるんでした。
天守閣から望遠鏡で見下ろしながら「うむ。今日も下々の者たちは元気にわが町で暮らしておるのぅ。おお。あそこに見えるのは,め組の辰五郎ではないか」とかなんとか言ってるような。
そんな,町の殿様が所有していそうな屏風絵であります。実際は屏風ではなくて,ゴミを回収するためのあの緑色の折り畳み式ボックスですが。町の御用絵師が描いたんでありましょうか。
それにしても,なかなかゲージツをしております。北斎やら等伯を思わせるような。というと言い過ぎのような気がしますけれども,ひょいと描いたにしては立派であります。毎日のゴミ捨てが楽しくなりそうでありますね。楽しくはならんか。
こちらもおかしなことが書かれているわけではないですけれども,なんとなく「その方の身分で表から入るとはなにごとか。裏へ回りなさい」と言われているような気がしてしまうわけでした。
それにしても,御用の方はみんな裏玄関へ回るということだと,表玄関からは誰が入ってくるんでありましょうか。用の無い人が入ってくるのか。
表玄関をあけると,用も無いのにこのお宅を訪ねてきたヒマな人がたむろしていたりするんでありましょうか。
しかし,「裏玄関」という言葉はちょっとアヤシイ雰囲気があるですね。この物件の裏玄関も薄暗くてなにかドキドキするようなことが待っているような気がするんでした。
ホームページなんかでも,正式な入り口とは別の入り口を持つようなところがけっこうあって,そこにはちょっと表の雰囲気と違うアヤシイことが書いてあったりするですね。
うちのページには裏口はありませんけれども。今度作ろうかな。でも路上物件であんまりアヤシくなるようなのもないしな。
「わが町」は新潟市・幸町あたり。
「屏風」は三条市・興野1あたり。
「裏玄関」は五泉市・伊勢の川あたり。