笹物件

笹物件


 多分にローカルな物件となりますので,県外というか新潟市外の人にはわかりにくい物件となっていることをあらかじめお詫びいたします。
 というほど悪いとも実は思っちゃいないのだけれども。普通の人にとっては,うちにある物件のほとんどは「何が言いたいのだ」と思うものばかりかもしれないし。それはともかく。

 新潟市内の電柱。某皮膚科のカンバンでありますけれども,その皮膚科は「笹虫線沿い」にあるようなんでした。むぅ。笹虫線…。
 いやまぁ,この辺の地理を知らない人から見れば「ああ。新潟市にはそういう鉄道か道路があるのだろうな」というだけの話でありますけれども,新潟市民からすると,「なに。これは新潟市なのか。なんじゃそれは。どこにあるのか」ということになるんではあるまいかと思われるんでした。

 これはもちろん,新潟市の人ならばたいがいは知っている「笹出線」の間違いであろうと思われるでありますね。
 確かにまぁ,「出」と「虫」は似ているといえば似ていると言えなくもないような気がすると言っても過言ではない可能性も捨てきれないおそれもなきにしもあらずんば虎子を得ずくらいの,形の相似が認められるような気がしないでもないわけですけれども,普通間違えるであろうかと,どこの人間が書いたカンバンなのかと,思ってしまうのもまた事実なんでした。

 笹出(ささいで)線というのは,新潟駅の南側を東西に走る重要(だと思う。私はよく通る)な道路であって,笹口(ささぐち)と出来島(できじま)を結ぶことからその名で呼ばれているんでした。
 すると,「笹虫線」であるとするならば,笹口と結ばれるのはどこになるのか。虫のつく地名があのあたりにあるのかどうか,新潟市民歴30年以上の私にもよくわからないんでした。笹口とは別の「笹」だという可能性もあるかもしれないですけれども。

 しかし,その脇に書かれている「デッキィ401」というのはシネコンも入っている大きな商業施設であって,その名前ももともとはそこの住所が「出来島401番地」だったということからつけられた,言ってみればオザナリなネーミングであるわけですけれども,その中にこの皮フ科がある以上,ここはやはり「虫」ではなく「出」であろうと思われるんでした。

 しかし「笹虫線沿」という文字を見ていると,なんだかちょっと「笹虫」という小さな虫(いるのか?)が背骨に沿ってぞわぞわと這い上がってくるようなことを想像して,皮膚が痒くなりそうであります。
 あ。そういうサブリミナルな効果を狙って,皮フ科の人がわざと書いているのか?


 もうひとつ笹出線に関連する物件。久須美 雅士さんのタレコミによるものであります。毎度感謝であります。

 こちらもやはり電柱のカンバンでありますけれども,下の方に「ここは 笹出二丁目9」と書かれているんでした。

 まぁなんかありそうな住所ではありますけれども,上の物件でも書いたように,「笹出」というのは「笹口」と「出来島」をくっつけたものであって,「笹出」という住所は新潟市にはないんでした。この辺のホントの住所は「笹口二丁目」であります。

 まぁ,カンバンも調子に乗って書いてると,あるいはフッと気が抜けたはずみに,こういう間違いはしてしまいそうな気もしないでもないですけれども。近所に住んでいない限りは,「笹口」という住所よりも「笹出線」という道路の名前の方をよく使うだろうし。
 こういうカンバンというか,住所表示というのは誰が書いてるのか知らないけれども,たくさん書いてると集中力も途切れてくるかもしれない。早く仕事を終わらせて,笹出線を車を走らせて家に帰りたかったのかもしれないでありますね。


 ちなみに,この「笹出線」という名前は古くから使われているわけですけれども,現在は笹口より先,牡丹山あたりまで道路が延びております。
 どこまで延びるのか私はその計画を知りませんけれども,牡丹山の先に上木戸があるので,そこまで延ばして「上出来線」にしたらよいのではないか,というのを時々思ったりするんでした。
 あるいは,笹出線はそのままに,その先は笹口−牡丹山線で「笹牡丹線」というのも植物つながりでちょっといいかもしれない。ゴロが悪いけれども。

「笹虫線」は新潟市・上所3あたり。というか,書いてあるな。
「笹出二丁目」は新潟市・笹口2あたり。なんかややこしいな。