ホワイト物件

ホワイト物件


 街でよく見かける,住居表示板であります。知らない街を歩いてたりすると,こういうのがあるとちょっとホッとしたりするわけでした。
 写真の表示板は,私の勝手知ったるところなのだけれども,あらためて地図として見ると「むぅ。この街はこういう形をしていたのであるか」と思ったりするですね。

 ちょっと気になるのは,なんだか妙に白いということなんでした。特に中央下の部分。これを拡大してみるとこうなっているんでありました。

 そう,最初は住居を示す四角と文字があったのだけれども,その文字が白く消されているんでした。すなわち,家がなくなっているということなんでありました。

 まぁ,真ん中の「新潟絵屋」というのを見れば,新潟市中心部に住んでいる人であればこれがどこかはわかると思いますけれども,ここは例の,道路を作るために家が消えていっている地帯なんでした。

 しかし,やはり家がなくなるとそのつど住居表示板の街灯箇所も消していくんでありますね。でも,どこでもやっていることなのかどうか。
 なんとなく,工事の担当者が「うひひ。また一軒壊したゼ。消すぞー。消しちゃうぞー。けけけけけ」とか言いながら嬉々として消しているような,作業実績表として「あと何件壊すと工事完了です」というように活用しているような,そんなことを想像してしまうわけなんでした。そんなこともないんだろうけれども。

 もちろん,私は今までにも何回か言ってきているように,街が変わっていくことに反対するものではないんでありますけどもね。街が変わっていく過程で現れるものもあるし。  確かに,町屋であるとか古いもの,古い町並みはできるだけ残しておきたいと思ってはいるけれども。

 これなんかも小ネタですけども,周囲の環境が変わって現れた「フェイス」であります。ポイントは鼻と,右目下の泣きボクロでありましょうか。
 右奥の方の建物も顔っぽくなっております。

 そんなわけで,今日も刻一刻と建物が壊れていっているわけでした。周囲の家がなくなっていく中でたたずむポスト。彼がいなくなるとき,街がひとつ消えるのかもしれないんでした。

「ホワイト住居」「フェイス」は新潟市・秣川岸町あたり。
「たたずみポスト」は新潟市・住吉町あたり。