忘れ物件

忘れ物件


 何のヘンテツもないバス停であります。おかしなところもまったくないわけですけれども,私がこの前を通りかかったときに,たまたま折りたたみ傘がその時刻表のところにかけられていたんでした。ちょっと見えにくいかもしれませんが。

 だから何だ,と言われると困ってしまうわけですけれども。ただなんとなく,ここに傘がかけられる状況とはいかなるものであろうかと,考えてしまったんでした。

 乗客が車内に忘れたんだとしたら,傘はそのままバスと一緒に去ってしまうだろうし。他の乗客がその忘れ物に気づいたんだとしたら,時刻表にかけてるヒマに声をかければ手渡せるだろうし。

 単に落し物であって,警察に届けるほどのものでもないしということで拾った人が目立つところにかけておいたのかもしれないけれども。落とした人は,下ばかり探して上にあるのに気づかなかったりするかもしれませんが。

 あるいは,この傘は毎日夕方になると持ち主の帰りをこのバス停で待っていたのだけれども,ある日持ち主は出先で急死してしまい,それを知らない傘はずっと主人の帰りをここで待ちつづけているのかもしれないんでした。


 これは忘れ物というのとは違うような気がしますけれども,上の「バス停傘」を撮ったあとすぐに目に入ったもので。

 街路樹にちりとりがかけられているわけですけれども,これはまぁ,普通に近所のオバサンがこの辺を掃除するときに使ったりするんでありましょうか。

 それにしてはホウキが見つからないし,掃除用具なんかは自分のうちから持ってくるもんではあるまいかという気もするし。冬に簡易雪かきスコップとして用いるということもあるかもしれないけれども,どんなもんか。
 あんまりこれをショッピングの際に持ち歩くというものでもないから,落し物ということでもないだろうし。

 これはやはり,このちりとりは毎日夕方になると持ち主の帰りをこの木の下で待っていたのだけれども以下略。


 こちらは,リボンをつけた電柱であります。女の子の電柱なんでありましょうか。

 ということでは多分なく,この写真を撮ったのが8月半ば,ちょうど新潟まつりが終わってすぐくらいのことだったので,おそらくは浴衣を着て花火でも見にきた女の子の飾り帯あたりではあるまいかと思われるんでした。いやそういうのには疎いのでよくわかりませんが。

 落とした女の子は,家に帰って飾り帯がないのを知って,泣いたかもしれない。そして親は,それを探してあちこち歩いたかもしれない。下ばかり見ていて,上にあるのに気づかなかったかもしれませんが。

 まぁ,子どもの飾り帯が落ちているというのはちょっと微笑ましい感じのするものではあります。大人用の帯だけが道端に落ちていたらちょっとアヤシイですけれども。

「折りたたみ傘」は加茂市・大郷町1あたり。
「ちりとり」は加茂市・高須町1あたり。
「飾り帯」は新潟市・上大川前通6あたり。