ワナ物件

ワナ物件


 これは最近よく見かけるようになった「一時ひなん場所」の標識なわけですけれども,私なんかはこの絵だけを見るとどうしても「落とし穴注意」とか「この先地雷原」とか「ブラックホールあり」とかと読み取ってしまうんでありますね。
 この標識を見る人の3割くらいはそう受け取るのではないかと思っているのだけれども,私だけなんでありましょうか。

 確かに,この走っている人は「非常口の人」と同一人物のようだから,危ないときはこの人の走っているところへ逃げ込めばいいのかもしれない,とは思うのだけど。
 でもその「非常口の人」すら飲み込んでしまう落とし穴がこの先にあるのだとしたら,そこへ行ってはならないような気がするでありますね。

 下にはいくつかの国の文字で説明が書いてあるらしいわけですけれども,外国の人はこの説明がなかったらイザといいうときにここへ入っていいやら悪いやら判断できるんでありましょうか。
 なんてことを,心配性の私はこの標識を見るたびに思ったりするわけでした。


 こちらはまぁ,「走出」という地名らしいんですけれども,これに矢印がついて「走出→」と書いてあれば,その方向に走り出したくなってしまうのは人情ではあるまいかと思ってしまうわけでした。

 しかも,車通りもけっこうあるような道路を横切るような形で矢印が書かれているわけで,子どもたちはその指示に従って次々に走って飛び出していってしまうんではないかと思われるんでした。横断歩道があるとはいえ,ちょっとキケンであります。歩行者にとってもドライバーにとっても,ワナになっておりますですね。


 こちらは例によってゴミ捨て場…と思っていると,真ん中のカンバンには「ここはゴミ捨て場ではありません!」と,ビシッと書かれているんでした。

 これはちょっと「ええええ〜?」でありますね。それじゃあ,その後ろの「ごみ収集日」というカンバンは何なのか。これがあるところはゴミ捨て場ではないのかと,思ってしまうわけなんでした。

 確かに言われてみれば,このカンバンは「ごみ収集日」を説明しているだけであって,ここが「ごみ収集所」であるとかと書かれているわけではないんでありますね。だから,このカンバンがゴミ捨て場以外の場所にあってもおかしくはないわけなんでした。理屈の上では。
 最近引っ越してきて,この収集日カンバンを見て重いゴミをここまで一生懸命運んできた人にとっては,とんだだまし討ち。思いもかけぬワナであります。

 まぁこの「ゴミ捨て場ではない」という小カンバンを書いた人の本来の意図は,「ここはこの地区の人が一時的にゴミを置く積所であって,通りがかりの人がゴミを捨てていってよい場所ではない」ということなんでありますね。たぶん。「ゴミ集積所」と「ゴミ捨て場」というものを,この人の中ではきっちりと区別している。

 でも,その意図をくみ取ることのできない,そして気の弱い「地区の人」は,ゴミを捨てるに捨てられず,家の中がゴミだらけになってしまっているかもしれないんでした。

 世の中,どこにワナが潜んでいるかわからないでありますね。

「ひなん場所」は新潟市・五十嵐上崎山あたり。
「走出」は弥彦村・走出あたり。
「ゴミ捨て場」は新潟市・牡丹山2あたり。