書体物件
書体物件
さる美容室のカンバンでありますけれども,これは何美容室とお読みすればよろしいのかと思ったりするわけでした。
つまりは,この1文字目は,「ば」にも「げ」にも見えるし,2文字目は「ら」にも「う」にも見えるということなんでありますね。
まぁ,2文字目を「う」と読むのはちょっと強引なような気もしますけれども,1文字目はどうか。
「は」という文字の定義の一部として,「右下部分の線が交差していて閉じた丸が形作られている」というものがあるとするならば(実際にあるかどうかは知りませんけれども),このカンバンの1文字目は渦巻きになっているだけで閉じていないので,「ば」ではないんでありますね。むしろ字の形としては「げ」であると。
こうしてみると,文字の形などというのは微妙なものであります。よく見分けているなぁ。我々が見ると,ハングル文字やアラビア文字なんかはあんまり見分けがつかないけれども,平仮名や片仮名も外人さんには同じように映っているのだろうなぁ。それはさておき。
まぁ,普通に考えると写真のお店は「ばら美容室」であろうと思われるわけですけれども,それはあくまでもここが美容室だからということで,イメージ的に考えてしまっているのではあるまいかと思ったりするわけでした。
たとえば,これが美容室ではなく「お笑い集団○○」のカンバンであったら,最期の2文字を「ばら」と読むか「げら」と読むかは分かれてしまうんではあるまいか。と思うんでありますね。
さらにその2文字が繰り返されているとしたら,「ばらばら」なのか「げらげら」なのか,なんとなくどちらでもそれらしいので,迷ってしまうんではあるまいかと思われるわけでした。
そんなわけで,「はし」を買おうとして「けし」を買ってしまったりしないように気をつけましょう。
あるいは,「げげげの鬼太郎」を呼ぼうとして「ばばばの鬼太郎」を呼んでしまったりしないように気をつけましょう。鬼太郎は,平仮名で「げげげ」と書く時点ですでにパチもんっぽいですが。
こちらは昆布の問屋さんのトラックで,内容的におかしなところは全くないわけなんですが。
ただ,なんというか,どことなくこのデザインにチープさを感じてしまうんでありました。「あー。なんかワープロソフト使うとこんなことできるよなぁ」と,思ってしまうんでありますね。いや,昆布のウネウネ感は出ていると思いますけれども。
そのうちに,トラックに直接印刷できるプリンタとか出てきそうでありますね。出ないか。
最近はもう,パソコンがあると色んなことができてしまうわけで,それも良し悪しであります。
割とよく見かけるのが,自前で作ったポスター。素人でもキレイにできるんだけれども,雨なんか降るともうドロドロになってしまって,街の美観を損ねることこのうえないんでした。
もともと美観のある街なのかどうかは知りませんけれども。
こちらは交通事故の目撃情報を募っているわけで,やはり内容的におかしなところはないわけですけれども,この書体はいかがなものかと思ってしまうんでありました。
どうも緊迫感が感じられないんでありますね。なんというか,ヘリウムガスを吸ったアナウンサーがマジメなニュースを読んでいるようで。
まぁ,あんまり堅いフォントを使うと若者が読んでくれないとか,そういうことを考えてのことなのかもしれないですけれども。そうすると,こういうハリガミもそのうち丸文字になったり例のギャル文字になったり…しないか。
ちなみに,「=ぅ⊃ぅι〃=м○<レナ〃(キι〃ょぅレまぅ」が「こうつうじこもくげきじょうほう」ということだそうであります。
「ばらげら」は見附市・南本町2あたり。
「昆布問屋」は新潟市・船場町1あたり。
「ドロドロ」は新潟市・中山6あたり。
「目撃情報」は新潟市・東堀通13あたり。