サダ物件

サダ物件


 たまにトマソン系もやらねばいかんかなということ(そうでもないけど)で,今回は「アベサダ」であります。
 トマソンで言うところの「アベサダ」というのは,主に電柱などの柱状の物体が途中で切断されたまま,根元部分が残されているものでありますね。そのネーミングはもちろん,あの昭和を代表する猟奇的情痴事件から来ているわけで,男性としてはちょっとある一部分がムズ痒くなるような物件なわけなんでした。

 ということで,上の物件。アベサダというにはちょっと長い感じですけれども,「切断」はされております。さらにこれは電柱ではなく普通の樹木だったようでありますけれども,なんだか成因がナゾなんでした。

 まずこの,ブロック塀にピッタリはさまれた立ち位置というのがわからないでありますね。これほど隙間なく立っているというのは,これはひょっとしたら何かゲージュツをやっているんではないかとさえ思われるんでした。

 それからやはり不思議なのは,ブロック塀の段差でありますね。この木を境にして,一段分ブロックが節約される。あるいは増量される。これにはどんな意味があるんでありましょうか。

 そして,なぜこの木は切断されねばならなかったのか。まぁこれは,このままこれ以上育ってしまったらブロック塀が破壊される恐れがあるということかもしれませんけれども。
 でもそれならば最初からこの木を排除した上でブロック塀を作ればよかっただろうにと思われるでありますね。


 こちらは,割とよく見られる「昔の電柱」タイプでありますね。隣に新しいコンクリートの電柱が出来たので,古い木製電柱が根元からスッパリと切除されたというもの。

 スッパリとは言うものの,ほんの少し根元部分が地面より少し突き出て残ってしまうあたりがちょっとワビサビでありますね。そして,写真の物件の場合はその切断面をコケがおおっているのがまた良い味を出しているようなんでした。

 コケも,他に生える場所もないようでありますね。その場所を提供している旧電柱は,引退後の趣味に盆栽を楽しむ好々爺のようであります。


 こちらはどうやらコンクリート製の電柱がスッパリいかれたようでありますね。道路の拡幅か何かの影響だったんでありましょうか。

 しかし,根元もほとんど残さずにスッパリであります。それでも痕跡は残ってしまう。基礎となる鉄線か何かも見えていて,ちょっと無念さが感じられて,歯ぎしりをしているようにも見えたりするんでした。

 上のコケアベサダと比べると,後継者もそばにおらず,盆栽も趣味にできない哀れさ。まだ若くて働けるのに,世の中の流れのために切られてしまったリストラ社員のようであります。

「塀の中」は新発田市…のどの辺だったか。だいぶ前の写真で忘れた。ごめん。
「盆栽」は村上市・安良町あたり。
「リストラ」は村上市・大工町あたり。