お仲間物件

　これはもう，ヘンな解説も何もなしに，この山頭火を思わせるようなお言葉をじっくりと味わっていただきたいものでありますね。

「万引きはどろぼうのお仲間」。当たり前といえば当たり前すぎるようなお言葉でありますけれども，それだけに，忘れていた何かを思い出させてくれるようなありがたさがあるような気がするわけなんでした。
　何を忘れていて何を思い出すのかはよくわからないですが。

　お言葉の近くにはコンビニのような商店が一軒あって，というか周囲にお店はその一軒しかなかったような気がするのだけれども，お店から出ると，このお言葉が目に入るようになっているんでした。

　万引きをしてしまったあとにこのお言葉を見たときの衝撃は，いかばかりであることか。
　星飛雄馬のようにその場に泣き崩れて「おれは…おれはなんてことを…」と言いながらうずくまってしまうんではあるまいかと思われるんでした。

「あるまいか」ということで，オマケ。
「アルマイトはニギリ矢」だそうなんでありました。アルマイトというと昔の給食の食器なんかがそうであったかという程度のことしか私にはわからないわけですけれども，ニギリ矢という会社はおそらく業界では有名なところなんだろうと思われるんでした。

　なぜ握るのか。矢を。という疑問はありますけれども，このデザインはよろしいでありますね。古い会社の意匠というのは，なんだかよくわからないけれども心に訴えかけるようなものがあるような気がするんでした。

「お言葉」は味方村・味方あたり。
「ニギリ矢」は津川町・津川あたり。