蔵物件
蔵物件
キレイに整地された空き地と,これが売り地であるとことを記したカンバンであります。ここで目が行くのはやはり,カンバンにさりげなく書かれた「土蔵付」の文字でありますね。
「オマケ付」みたいでちょっとカワイイ感じであります。蔵の扉をあけると,オマケのおもちゃが出てきたり,金のエンゼルがついてたりするのかもしれない。しないか。
おそらく正面奥に見える建物がその「土蔵」だと思われるわけですけれども,「土蔵付」であることによってこの土地は売れやすくなるのか売れにくくなるのか,不動産なんか買ったこともなければ買う余裕もまったくない私にはよくわからない世界なんでした。
買う買わないは別にして,ただ街を歩くだけの路上観察者として見た場合には,やはり古い建造物は残っていた方が面白いわけですけれども。
この土地を買う人は,買ったあとに土蔵をどうするんでありましょうか。そのまま土蔵として使うのか,改装して何か別の用途に使うのか,壊して土地を広く使うのか。新潟市内には土蔵の中が駐車場になっているお宅もあるけれども。
売り主はどう思っているんでありましょうか。あえて土蔵を残して「土蔵付」としたのは,できればこのまま残して欲しいということなのか,壊す費用を浮かせたのか。
あるいは,残しておかなければならないことになっているのか。最近は町並み保存とかいろんなことがあるみたいだし。そういえば,この裏の方には昔から残る細い小路があったような気がするから,そのカラミかもしれないんでした。違ったか?
こちらも蔵のようでありますけれども,こちらの場合は美麗なトマソンが見所でありますね。上階下階同じように存在する,かつての窓。これが割とズサンに塗りこめられていて,いわゆる「ぬりかべタイプ」の無用窓になっているんでした。それに付随して,無用庇も。
しかしこの裏側がどうなっているのかわからないですけれども,こういう狭い建物の窓がふさがれているというのは,圧迫感をおぼえるでありますね。中に幽閉されてしまったりすることを考えると,息がつまりそうであります。この中には,ノスタル爺(藤子・F・不二雄)がいたりするのかもしれない。
しかし,昔は蔵というといろんなものを貯めこむ富の象徴だったわけですけれども,今はお金というのはもう実体のない情報として飛び交ったりするし,もちろんお米を貯蔵するということでもないわけで,無用の建物になっているんでありますね。蔵というのは,それそのものがトマソンであるかもしれないんでした。
最近は「昔の建物を活用する」という動きが活発になっていて,それはもちろん悪いことではないし放っておけば建物自体がなくなってしまうわけなんだけれども,「何の役にも立たないものをそのままながめるだけにしておく」という余裕があってもよいのだがな,と思ったりするでありますね。
まぁ,建物の所有者としてはそんなことも言ってられないのだろうけれども,私は持ってないから好きなことを言うわけなんでした。
「土蔵付」は津川町・津川あたり。
「ぬりかべ」は寺泊町・寺泊あたり。