婉曲物件

婉曲物件


 バス停に貼られたハリガミ。貼られているというか,本来時刻表やら連絡事項やらを入れるところに納められているから,バス会社公認のハリガミなのかどうか。でもその場合はその旨が明記されるような気もするけれども。

 実はこの停留所は私が普段乗り降りしている停留所であって,確かに迷惑駐輪が多くてバス待ちをしていても危険だったりする。それで私自身もバス利用時にはちょっとイライラしているところなのだけれども,このハリガミ主もけっこうイラついているような感じを受けるでありますね。

 文面自体は,淡々と「迷惑駐輪に該当する駐輪場所」を列挙しているだけなのだけれども。でもその抑えた表現からはより一層,内なる怒りを感じるような気がするわけなんでした。

 このハリガミで一番言いたいのは「バス停留所に自転車を置くんじゃねぇ!」ということなんだろうけれども,その「バス停留所」とは直接関係のない「道路の曲がり角付近」と「消火栓のすぐ近く」を挙げていて,しかも順番として「バス停留所」をトップとしないという婉曲的な表現が我々の心を打つわけでありますね。打たんか。

 婉曲表現というのは一歩間違うと単なるイヤミになるわけで,このハリガミもちょっと微妙ではあるのだけれども,私としてはこのハリガミが功を奏することを祈るわけでありました。実際あの駐輪はジャマだし。朝の10分くらい早起きして歩きなさい。

 でも,読み方によってはもっと深い秘密が隠されてるような気もするですね。徳川埋蔵金のありかを示してるような。「迷惑駐輪」という名前の,財宝を散りばめた指輪とか。
 近所の人は「近くにバス停留所のある道路の曲がり角付近の消火栓」を探して掘ってみるとよろしいかもしれない。

「迷惑駐輪」は新潟市・山木戸2あたり。