江戸っ子物件

江戸っ子物件


 私はご存知のように新潟の人間でありまして,まぁ東京にも3年ほど住んでいたことはありますけれども,江戸っ子の人と話をするということはほとんどなかったでありますね。

 だから江戸弁というか江戸なまりというのを肌で感じたことはないわけですが,そのイメージとしては「おう,シコーキが飛んでらぁ」とか「てやんでぇ」とか「あたぼうよ」とかであったりするんでした。
 それから,上の物件にあるような「ぶつけるな」の「つ」が小さくなって「ぶっけるな」になってしまうものとか。

 この写真は新潟市のものなんですけれども,このカンバンを書いた人は江戸っ子だったんでありましょうか。いやひょっとすると私がそう思いこんでるだけで,正しい日本語は「ぶっける」なのかもしれないけれども。


 こちらは開店前,まだ工事中の焼肉屋さんのカンバン。どうやらキャッチフレーズが「旨い!安い!間違えねえ!!」らしいんでありました。

 ここでやはり問題になりそうなのは,「間違えねえ」でありますね。これは普通どう読むのかというと「まちがえねえ」であって,乱暴な言い方ながらも意味としては「間違いません」ということになると思われるんでした。

「旨い安い」はいいとして,「間違えない」というのはどういうことか。店員がオーダーを間違わないということか。お釣りの計算を間違わないということか。料理人が材料を間違わないということか。その辺はお店としては当たり前なのではあるまいか。と思ったりするわけでした。

 まぁおそらくこれは,かの長井秀和のキメぜりふ「間違いない!」から拝借したものであって,ホントなら「旨い!安い! 間違いない!!」としたいところなんでありますね。
 でも,そのままだとカッコ悪いので,ちょっと崩して江戸っ子風に「まちげぇねぇ」と書いたつもりなんですね。それが漢字を使ったことによって「げ」の字が見えなくなってしまったために,「まちがえねえ」になってしまったわけでした。間違いない!

 あるいは,新潟弁というのは江戸弁で「ひ」と「し」の区別がつかないように「い」と「え」の区別がつかないというのがあるので,これはあえて「間違いない」の新潟バージョンとして「間違えねえ」とした…というのはちょっとムリがあるな。

 さて,このカンバン,開店までこのままになっているでありましょうか。

「ぶっけるな」は新潟市・大形本町2あたり。
「間違えねえ」は新潟市・東堀前通8あたり。