志村物件

志村物件


 むぅ。これはなんだかちょっと鬱陶しいような気がするですね。振り返ればうしろにいつも親がいる。しかも泣いている。ここでイメージされるのは,やはり父親ではなく母親でありますね。小太りのパーマ頭で腰から下のエプロンをさげてサンダル履き。いやなんとなくですが。
 あるいは,星一徹のような親父が腕組みをしながら無言でうなずきながら泣いているのかもしれない。それもちょっとイヤだなぁ。

 私はまだ親になったことがないのでわからないわけですけれども,親というのは常に子どもの後ろに立って泣いているものなのかもしれない。そして,子どもが後ろを振り向こうとすると,さっとどこかに隠れてしまう。「志村!うしろー!」というやつでありますね。

 さらにそして,後ろにいるのを子どもに見つけられてしまったときに,親は親としての役割を終えるのかもしれない。すなわちそれが,子どもが大人になるときなんでありますね。
 してみると,私はまだ後ろにいる親をみつけることができないでいるので,まだ大人になれていないのかもしれないんでした。

 関係ないけれども,「ふりかえろ」だとなんだか銀行のお金を操作しているような感じでありますね。「ふりかえれ」がこの場合しっくりくるような。ひょっとすると,どこかの銀行員がサブリミナル効果をねらってカンバンを立てているのかもしれない。


 これはちょっとコワいような気がするでありますね。いや,ちょっとどころではないかもしれない。うしろを見たら自分がいて,しかも無言で見つめられているとしたら,ニヤリと笑われたりしたら…相当怖い。双子とかだとそういうこともあるかもしれませんが。ないか。

 私はまだそういう経験がないのでわからないわけですけれども,すべての人間の後ろには常にもう一人の自分が立っているのかもしれない。そして,隙あらば前の人と入れ替わろうと狙っていて,前の人が後ろを振り返ろうとするとさっとどこかに隠れてしまうのかもしれない。「志村!うしろー!」

「後ろの人」に入れ替わられてしまったら,今度は自分が「後ろの人」になってしまうので,気を付けましょう。
 ほら。今も後ろにもう一人のあなたが…。

「親が泣いている」は見附市・今町2あたり。
「もう一人の自分」は見附市・今町5あたり。