ロールシャッハ物件
ロールシャッハ物件
さるスナックのカンバンであります。であることは,上にスナックと書いてあるからわかるわけですけれども,じゃあそのスナックの名前が何であるかというのが,ちょっとわからない。
いや書道をやってる人とか崩し字に慣れてる人にはわかるのかもしれないけれども,一般の人間にはちょっと。果たしてホントに字なのかどうかというのも判別しかねるんでした。
紙にインクをたらしてできた図形をそのままマークにしただけなのかもしれないし。ロールシャッハテストみたいに。見る人の精神状態によって見える図形が変わったりするのか。この絵が悪魔の顔に見えたらもうそれ以上飲んじゃいけないサインだったりするとか。
いやまぁ地面に置いてあるカンバンにはちゃんとふりがなが振ってあって,「スナック ゆう」と書かれているんですけれども。むぅ。「ゆう」と読むのか。「遊」か? 形はなんとなく,それっぽいな。
初めてのお客とは「ママ。あのカンバン,『ゆう』って読むの? いやー。読めなかったよぉ」「えぇ。知り合いにちょっと書道の先生がいましてね。その方に書いてもらいましたのよ。ホホホホ」なんていう会話から入っていくのかもしれない。
あるいは,一見さんが入りにくいようにあえて読みづらくしているのか。名前のわからんお店というのは入りにくいし。
名前のわからんまま飲んでいると突然法外な金額を請求されて,「ここに『ぼったくり』って書いてあるのが読めんのかい!」なんてコワいお兄さんに脅されたりするかもしれない。
こちらはロールシャッハ的ではありませんけれども,読めますでしょうか。上の「シテイホール」はおそらく「指定ホール」ではなくて「シティホール」であろうかと思うんだけれども。下のほうはどうか。
なんだかちょっとハングルっぽい感じで一瞬とまどってしまいますけれども,実は「ジョーナイチョー」と書かれているんでありますね。城内町という地名なんでした。
地元の,その地名に慣れている人はこの文字を見ればすぐにわかるのかもしれないけれども,初めて訪れる人にとってはわかりづらいでありますね。私も城内町という地名は知っていたのでわかったけれども,まったく初めての人はいつまでも悩んでいるかもしれないんでした。
いや,こんなもんで悩むのは路上観察者だけかもしれませんが。
「ゆう」は加茂市・穀町あたり。
「ジョーナイチョー」は長岡市・城内町3あたり。
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この物件掲載後,_manさんからメールをいただきました。以下,その引用。
例の「ロールシャッハ物件」の『ゆう』ですが、
これは、「遊ぶ」のシンニョウをサンズイの代えた「游」ですね。
訓読みは、「およぐ」。
遊ぶという意味は無く、第一義としては「泳ぐ」。
さらに遊びにおぼれるという古い(文語的な)意味もあります。
・・・むろん路上観察としては、今回のような場合「本当はどんな漢字か」が不要であることは承知しておりますし、貴殿におかれましてもすでに正答を得つつも考察文章には蛇足との判断をされておられるとも思いましたが、「わからずじまい」ということもあるのではと考え、思わずメールしてしまいました。
ちなみに店名の由来を想像するに、「泳ぎ」関係ではなく、店のオーナーあるいはママの名が「游子」なのではないかと思います。
以上、妙にカタイ文章となってしまいましたが、まあ、ファンレターと思ってくださいな。
メール引用おわり。
なるほど。「游」か。
と言いつつ,その字知りませんでしたが。
確かに,「遊」のシンニョウにしては短いなとは思ったんですけども。いや,_manさん,ありがとうございました。うちの物件に関してもよく理解しておられて,ありがたいことであります。
そんなわけで,今度このスナックへ行くことがあったらツカミはOKであるな。多分行くことないと思うけれども。