まゆつば物件

まゆつば物件


 これはゴミ捨て場に貼られたハリガミでありますけれども,どんな山奥のハリガミかと思うと新潟市の中心部だったりするわけなんでした。

 新潟市の海岸部には松なんかが防砂林として植えられていて,鬱蒼としたその林のあたりにたぬきがいるらしいことは知っていたし何度か見たこともあるのだけれども,こんな街の中にも出てきているのだなぁ。

 たぬきというのは人を化かすと言われているわけですけれども,一度化かされてみたいような気もするですね。どんな感じのものか。馬糞食わされたり肥溜めの風呂に入れられたりするのはイヤだけども。
 いや今は馬糞なんて調達するほうが大変か。肥溜めもないし,最近は犬糞もあんまり落ちてないから,化かすのもひと苦労かもしれない。

 たぬきなどは人を化かすときに眉毛の数を数えて化かすので,化かされないようにするために眉をつばで濡らした。というのが,アヤシイことを意味する「まゆつば」という言葉の由来とされてますけれども,濡れてなくても眉毛数えるというのは大変だと思われるわけで,もっと簡便な化かし方もあったんではあるまいかと思ったりするですね。何か特定の条件を満たせば化かせるとか。

 で,写真のハリガミ。「たぬきが出るのでごみは朝だす事」というのはおそらく「ゴミを荒らされないように」ということであろうと思われるわけですけれども,ホントにそうか。
 実はこのあたりのたぬきは「夜中にごみを出す人間を化かすことができる」という能力を持っているのかもしれない。そしてそれを知った地元の人が,化かされないために「ごみは朝だす事」としたのかもしれない。

 だからこのあたりでは,だまされないように気をつけること・あやしいことを「まゆつば」と言う代わりに「あさごみ」と言っているわけです。「その話はあさごみものだな」とか。ウソですが。


 そして,こちらはそのハリガミのすぐ横に立っている,ごみ収集ルールのカンバン。午前8時までにださなければいけないということで,左上の方に時計がかけてある…のかと思うと,これは温度&湿度計なんでした。

 まぁ確かに生ごみなんかは温度や湿度で腐りやすくなったりするかもしれないけれども,ここに必要なものかどうか。時計で時間を見るならともかく,ここで温度を見て「じゃあ今は出すのやめよう」とはならないような気がするでありますね。

 これもやはり,このあたりのたぬきには「温度計と湿度計のあるところでは人を化かすことができない」という特質があったりするからなのかもしれない。

 だからこのあたりでは,だまされないように気をつけること・あやしいことを「まゆつば」と言う代わりに「おんしつ」と言っているわけです。「その話はおんしつものだな」とか。ウソですが。

「たぬきが出るので」「温度計」は新潟市・住吉町あたり。