どこに物件

どこに物件


 ちょっと小さくて見えにくいですけれども,この黄色いビニールひさしの下のハリガミには「無人販売 何んでも百円」と書かれているんでした。

 とはいえ,売り物になるようなものは見当たらず,雑草と「三笠優子 渥美二郎 ふたりのビッグショー」のポスターしか見えないんでした。

 雑草が百円は高いなぁ。いや,実はヨモギとか食べられる草なのかもしれないけれども,その辺の知識皆無の私にはよくわからない。
 あるいはここはブロマイド・ポスターショップで,ほとんど売り切れてしまった状態なのかもしれない。売れ残りが一枚残っていると。そういえば,三笠さん渥美さんの表情はなんとなく寂しそうであります。そんなこたないか。


 こちらもちょっと小さくて見えにくいですけれども,上のほうの標識には「歩道橋あり」と書かれているんでした。
 まぁ,別におかしな標識でもないなとは思って通り過ぎようとしたんだけれども,ちょっと考えてみると「歩道橋あり」という標識はあんまり見たことがないような気がして立ち止まったんでした。

 というのも,通常歩道橋というのは上にどーんとそびえていて,特に注意されないと気づかないというものでもないし,高さ制限以外では車が注意するべきものではない存在だから,でありますね。

 そんなわけでもう一度その標識の方を眺めてみると,どこに歩道橋があるのかわからないんでした。横断歩道は見えるのだけれども。だいたい,歩道橋と横断歩道はあんまり併設しないような気もするし。

 ということでさらによく見ると,道路右側のガードレールの向こうは小さな川になっていて,小さな橋がかかっているんでした。そしてそこから横断歩道がのびていると。つまりは,その橋が「歩道橋」であるわけなんでした。確かに,幅は車が通れるほどにはなく,歩道分しかない。道路ではなく,川をまたぐ歩道橋。

 むぅ。歩道橋っていうと,あの階段を上って大きな道路を越えるというやつばっかり頭にあるもので,そういう形の歩道橋には思い及ばなかった。

 でも,この標識をはじめて見た人は,やっぱり「ん?どこに?」と思うんではないかなぁ,と思うんでした。まぁその辺がこの標識の真の役割なのかもしれないけれども。
 でも,人によっては歩道橋を探すのに一生懸命になってしまって,直前にある危険に気づかないような人もいるんではないかなぁ,と思ってしまったりするわけなんでした。

「無人販売」は加茂市・岡ノ町あたり。
「歩道橋」は横越町・中央4あたり。