あいまい物件
曖昧図形とか多義図形というのをご存知の方も多いと思いますけれども,それは,ひとつの絵が見方によって違った内容の絵に見えてしまうという図形のことでありますね。
たとえば,「老女の横顔にも若い女性の横顔にも見える絵」とか,「ウサギにもアヒルにも見える絵」とか「女性のヌードにも男の顔にも見える絵」とか。
こういうのを見るのは,なんだか面白いでありますね。今まで思っていたのと別のものが見えたときの,ちょっと脳がパニックを起こしたような感じ。パニックとまではいかないけれども,その「ありゃりゃりゃ」という感じは,微妙に心地よい刺激をノーミソに与えるんではないかと思われるんでした。
それは,路上観察の「目玉の角度を変える」ということと同じようなものなのかもしれないでありますね。
そんなわけで,物件の写真。どのあたりが「あいまい物件」なのかというと,このカンバンのお店の名前,私の目(というかノーミソ)には「曖昧図形」として映ってしまったわけなんでした。
すなわち,不識庵(けんしん)最中を売っているこのお店は,「痔屋」であると。
「いや,モナカを売ってるお店の名前が『ぢ屋』であるわけはない」とは思っても,一度そう思ってしまったノーミソにとっては,凝った書体の赤く色をつけられたその文字はどうしても「痔」に見えてしまって,他の文字がなかなか浮かばないんでありますね。
結局,そのお店が「寿屋」であることに気づくためには6秒ほどを要してしまったわけなんでした。いや最初の思い込みというのは恐ろしいもんであります。まぁ,別の見方がわかってしまえば,それはそれとして受け入れられるわけですけれども。
逆に,普通にこれを「コトブキ屋」と読んでいた人にとっては,これから先,このカンバンを見るたびに「ぢ屋」という読み方が頭をよぎるようになってしまうかもしれないですが。
では,もう一度物件の写真を見てみましょう。
ほーら。あなたも「ぢ屋」としか読めなくなってきた…。
栃尾市・本町あたり。