非常物件

非常物件


 上に「逃げる人マーク(というのか?)」が描いてあるように,これは非常口なんでした。非常口なんだけれども,通常の非常口(なんだかヘンな言い方であるな)とちょっとおもむきの異なる点があるですね。

 まず,高さ。身長の低い私(公称1600ミリメートル)が上からのアングルで撮っていることでもわかるように,ドアが低いというか小さいんでした。およそ私の腰から腹あたりくらいの高さ。
 それから,まわりがタイル張りであるということでありますね。この部屋がタイル張りであるということ自体は,いたって自然なことなんですけれども。

 では,この非常口がどういう部屋にあるのかというと,トイレなんでありました。背の低い非常口の付いたトイレ。実はこれ,前の「思考物件」のトイレと同じトイレなんでありますね。その個室に入る前に非常口がある。
 写真のすぐ左側には通常の出入り口があって,そのすぐそばに非常口がついていると。そして非常口を出たところは階段になっているんでした。

 おそらく,火災等の際には階段部分に防火扉がおりるんでありますね。そうすると通常の出入り口からは階段を使えなくなってしまうんで,この非常口から直接階段へ出るんだと思われるんでした。んむ,理にかなっている。

 しかし,この非常口を使わなければならない状況というのは,考えてみるとちょっと悲しいものがあるですね。
 つまりは,トイレに入っている最中に火災が発生し,そのフロアにいる人の避難は済んだものとして防火扉が閉められてしまっているという状況。

 それはすなわち,緊急時にもかかわらずその人が途中でトイレを切り上げることができなかったということを示すわけなんでした。救出されても,「長グソの××さん」あるいは「焼けクソの××さん」とアダナされること必至であります。
 そんなアダ名がつくくらいなら焼け死んだ方がいいという人もいるかもしれない。いないか。

 ただ,私もこの非常口に入ってみたわけではないので,本当に階段に出るのかどうかは不明なんでした。実はこの扉を開けると中にもうひとつ隠しトイレがあるのかもしれない。
 トイレに入る人にとって本当の「非常時」というのは,「漏れそうなのを我慢して必死でトイレにたどりついたのに先客がいた時」なのかもしれないし。


 オマケ。

 そのトイレの通常の出入り口を外から撮ったもの。「殿方用化粧室」と上品な表記に対して「おす」というのはあまりにも下品な表記ではあるまいかと思ってしまったというのはもちろんウソであります。

 新潟市・上大川前通7あたり。

 商工会議所は機能を移転するとかしないとかいう話があるけれども,建物は残るのだろうなぁ。トイレもこのもままに残しておいて欲しいもんであるな。