古時計物件
古時計物件
さる中華料理チェーン店駐車場に貼られているカンバン。
「いやまぁ,私たちは多少うるさかろうが構わんのですけどもね。近くに子どもがね,いるんですよね。赤ちゃんが。んー,まぁ,こんな環境のところに住んでるんだから,多少は我慢して妥協してくれればいいとね,私なんかは思うんですけどもね,赤ちゃんをダシに使われちゃね,どうにもならんのですよ。だから,私たちはちっとも構わんのですけど,赤ちゃんのために,駐車場では静かにしてくださいましね。ホントに,あの家さえなければ…」
という,責任転嫁型のカンバンでありますね。「赤ちゃん」はホントにいるのかどうか。
まぁ実際に赤ちゃんがいて,家族から苦情が出たんであろうとは思うのだけれども。でも,それで「赤ちゃんが寝ています」というカンバンを作ってしまうというのはどうなのか。この赤ちゃんが大きくなったら,カンバンは撤去するのか。
あるいは,赤ちゃんが成長して幼稚園にでも入ったら「園児が寝ていますから静かに」と書き換えるのか。小学校にあがったら「小学生が…」,中学生になったら「中学生が…」と変わっていったりするのか。
さらに年を経て「高校生が…」「大学生が…」と変わっていって,「平社員が…」「主任が…」「係長が…」「課長が…」あたりまで行ったあとなぜかまた「平社員が…」になり(リストラ?),そのあとしばらくして「おじいさんが寝ています」に変わって,ついには「おじいさんが寝たきりです」になって…。
そして,さらにしばらくしてようやくカンバンは撤去され,近くから読経が聞こえてきて線香の香りが…。
ああ。なんだか「大きな古時計」のようないいお話だなぁ。…そうか?
新潟市・近江あたり。