赤い糸物件

赤い糸物件


「生ゴミは水を切ってから 定められた日に出してゴミ箱を大事にしよう」
 ということで,ここの隣組長さんは,ゴミ捨てに際してまず大事にすべきは,ゴミ箱という「モノ」であると考えているようなんでした。

 確かに,普通あるような「決まりを守ろう」とか「マナーよく」という曖昧な物言いをするよりは,目に見える明確なモノを引き合いに出すほうがいいのかもしれない。ゴミ箱をキレイに保とうとしたら,結果としてルールを守らなければならないわけだし。
 隣組長さんは,そういう深い考えで「ゴミ箱を大事に」と言ってるんだと思われるんでした。

 …しかしホントにそうか? ホントは,ただ純粋にゴミ箱が好きな人なのかもしれない。ゴミ箱マニア。ゴミ箱フェチ。
 夜な夜なブリーフ一丁で忍んできては,このゴミ箱をなでながら「ああっ。この金具が。この金具がっ」とか「この網目がっ。網目がっ」とか言って恍惚としてるのかもしれない。

 んー。このゴミ箱と隣組長さんは,赤い糸で結ばれていたんでありましょうか。種を超えた(種どころじゃない)愛が実るように,応援しております。がんばってください。

 しかし,ある日突然30年連れ添ってきた夫が土下座して「俺はこの人(ゴミ箱)と結婚するから,わかれてくれっ」と言ってきたら奥さんショックだろうなぁ。

「あ,あなたっ。こんな女(ゴミ箱)の,いったいど,どこがいいのっ!? くやしぃっ! こうしてやるっ!」
「よせっ。この人(ゴミ箱)を殴るなら,俺を殴れっ」
「きーっ! かばいだてするのっ!? こんなっこんな女(ゴミ箱)をっ」
「実はこの人(ゴミ箱)の…この人(ゴミ箱)のおなかには,もう子ども(キューピー人形・不燃物)が…」
「今日は燃えるゴミの日よっ!」

 ゴミ箱を大事(だいじ)にしたことから,大事(おおごと)になりそうであります。
 なんだこのオチは。

 関川村・雲母あたり。