やよみ物件

やよみ物件


 出雲崎を歩く場合は,海岸道路から一本入った道路を歩くことになるわけなんでした。建物の短い辺の方に入り口を作るという,妻入の町並というのを見ることができる,一本道。

 その妻入自体はあんまり路上から見て面白いものでもないんだけれども,この一本道がとにかく長い。「ゼロ発信」で赤瀬川翁も書いていたけれども,脇道に入ることも出来ない道が,延々と続く。3キロくらいか。いやもちろん海岸道路に出ることは出来るんだけれども,路上観察者としては,やはりこの一本道を行くしかないわけなんでした。
 でも一本道とはいえ,なかなか面白い道ではあります。

 で,その一本道の中ほどにあるのがこの建物。全体として日本風な町並の中に現れる,この洋風の建物。天使がカンバンを掲げておりますけれども,それが「やよみ」。「やよみ」とはなんぞや。まあ,ちょっと考えれば「みよや」なんだろうなとわかるし,実際わきには「割烹みよや」という縦書きのカンバンもあるのでした。

 でもそれでもなんだかちょっと「ホントに『みよや』なのか?」と疑ってしまうのは,このカンバンの背景が黒だからなんではないかと思うんでした。無意識のうちに「闇夜」とか「夜宮」という単語をノーミソが用意しちゃってるんですね。それに比べて「みよや」という言葉は,ノーミソに準備のない単語。
 そうすると,ノーミソとしては,せっかく準備した単語を使いたくてしょうがなくって,「みよや」に懐疑的になってしまうんではないかと思ったりするわけなんでした。

 しかしホントに「みよや」なのか? 何かの暗号か? やよみ…。843…。あんまり関係ないか。
 関係ないついでに,「やくざ」という言葉は893から来ていると言われますですね。全部足すと20になって,オイチョカブでは負けてしまうから。で,役にたたない人間をやくざと呼んだとか。
 でも,8・9と来たら次の札は引かないよなぁ。9・3と来たら引くかもしれないけど。だから,本当なら役にたたないのは「938」,すなわち「くさや」なのではあるまいか。なんか臭そうではあるな。

 出雲崎町。