終末物件

終末物件


 さるガソリンスタンド。2基の給油台(というかメーターというか。なんて言うんだ。これ)それぞれに「終りました」という(手書きの?)紙が貼られていて,そこはかとない終末感を漂わせているのでした。

 写真を撮ったのは土曜日の午前中だから,「今日はスタンドお休みです」というのでもなさそう。昨日の夜,お客が集中してやってきて,ガゾリンが底をついてしまったのか。
 あるいは世の中には道場破りならぬ「スタンド破り」というのがいて,ガソリンスタンドの店主に勝負を挑み,勝つとガソリンを根こそぎ持っていってしまうのかもしれない。ここの店主はそれに負けてしまったのか。どんな勝負をするんだかわからないけど。
 ガソリン少しをなめて「ん。これはサウジアラビア産,四日市製油所第3ラインで精製されて4号タンクに貯蔵された3億年ものの…」とかやるのか。やらんか。

 でも,この字体からはもっと何か深刻な事態というか決意というものを感じてしまいますですね。「業績不振により,このスタンドの営業は永久に終わりました」とか,それにともなって「私の人生は終わってしまいました」とか。

 それとも,もっと地球規模のお話か。実はもう地球上のガソリンは底をついていて,ガゾリンの供給は終わっているのかもしれない。今ある分を使い切ったらおしまい。
 で,スタンドはガソリンをすべて使い切ってしまったらこの「終わりました」のハリガミをすることになっていると。このスタンドはもう,すべて使い終えてしまったわけですね。
 だから,今後このハリガミをするスタンドがどんどん増えていくのかもしれない。
 ほら。明日あたり,あなたの町のスタンドも…。


 オマケ。こちらは,そのスタンドの近所の塀に貼ってある,おなじみの「お言葉」。
 なんだかこの「死んでも生きる」ってのはヘンな「ねじれ」があるですね。「死んでも〜」ってのが「死んでも約束は守る」というような使い方にとることができて。「健康になるためなら死んでもいい」みたいな感じ。もともと「死ぬ」と「生きる」は互いに背反の事象であったような気がするのだけど。
 まあ,このお言葉が言わんとしてるのは,「永遠の命を得る」というようなことなんだろうなぁ。
 しかし,地獄に落ちてる人というのも,ある意味永遠の命を得ているわけだよなぁ。

 写真はどちらも青山あたり。