遺跡物件

遺跡物件


 新潟では「えんぞー」と言ったりしますけれども,道路わきにある側溝,ドブでありますね。最近は安全上,美観上,石や鉄板でフタがされていることが多いですが,ここもご多分にもれず石のフタがしてあるんでした。

 で,その石のフタの一枚の幅が少し狭くなっていて,木切れがはさんであるんですね。これは清掃のときにフタを取り易くするための生活の知恵か。
 わざわざ石を削ったんでありましょうか。それとも特注品か。はたまた,本来この石のフタというのは一枚小さいのがセットの中に入っているものなのか。

 まぁそれはともかく,そのはさんである木切れに「H13 7/21 50円おとした!!」という涙ぐましい文字が…。この写真を撮ったのが7月29日だから,ほぼ1週間前。
 このフタの前は床屋さんなんだけれども,散髪して料金を払って,おつりをサイフにしまいながら店を出る時に50円玉がすべりおちてしまったのか。そして「あっあっ」という間に50円玉はころころとこの穴の中へ。

 落とした人は,ちょっと逡巡したでしょうかね。わざわざ重い石のフタをあげて,汚いドブの中を探す価値が50円玉にあるであろうか。500円玉ならまだしも。散髪してサッパリしたところなのに,ドブさらいなんて…と。

 で,結局あきらめたわけでありますね。でもちょっとくやしい。それで,たまたま持っていたのか床屋さんに借りたのか,マジックで木切れに件の文を書き留めたのでした。あわよくば,次の町内下水掃除の時に,誰かが拾っておいてくれるかもしれない,という虫のいい期待を抱いて。
 いやこれはもちろん全部私の想像ですけれども。

 あと何万年か後に次世代の文明が発達した時に,この木切れが遺跡から発見されたとすると,次世代文明人はこれを何だと思うんだろう。「古代文明のものと思われる貴重な木簡発見!」「50円とは何か?」「時の権力者にあてた機密文書か?」なんてことが考古学者の間で騒がれたりするんであろうか。

 村上市・小国町あたり。