余り物件

余り物件


 左にメルヘンチック(でもないが)な建物,右には四角張った建物。ここでの注目は,右の建物壁面に飛び出ている「屋根」でありますね。「左のおうちを作ったら余っちゃったんで,ちょっとくっつけてみました」というような感じ。

「屋根」と書いたけれども,屋根にはなってないですね。かと言って庇(ヒサシ。「へ」じゃないぞ)でもない。庇は通常その下にあるものを守るんだけれども,これには守るべきものがない。それどころか,この「屋根」を滑り落ちたものは,下の窓を直撃するように仕向けられているわけなんでした。雨や雪の日なんか,住人は窓を開けられない。

「守るべきものが無くなってしまったのに存在し続ける庇」をトマソンの分類として「無用庇」と言うわけですけれども,この物件の場合は,下にあるものを守るどころか攻撃するという「逆庇」になってしまっているんでした。

 この「逆庇」はおそらく設計者が装飾として意図してつけた(意図が反映しているかどうかは別)ものだろうから,トマソンと言えるかどうかは意見が分かれるかもしれないのですけれども,結果としてトマソンになってしまっておりますね。
 いや私が知らないだけで,ホントはこれにはスゴイ役割があるのかもしれませんが。
 あるいは,この建物は「Λ(らむだ)」あるいは「へ」という名前のアパートで,そのカンバンなのかもしれないし。

 新発田市新栄町あたり。