切断物件



 おそらくは木製電柱のあった痕跡であろうと思われるんでした。
 特徴的なのは、まわりをぐるりと石で囲われているところでありますね。きれいに丸くなぞっているのは、職人の技的にも見えるんでした。

 そうまでしてガードしていた電柱が根本から切られていて、モノノアワレのようなものを感じてしまうわけでした。
 しかしこのガード石があるために電柱切り株はここまで残っているのかもしれず、ガードとしては本懐を遂げているような気もしてくるわけでした。

 新潟市中央区。



 これは切断されているわけでもないのか切断した結果なのかわかりませんけれども、結果として「どしぇー!」と言っているかのような感じになっているんでした。

 どしぇー感は、輪っかによる表情よりも脇からのびる枝によるもののような気もするところではありますけれども。

 新潟市東区。


 これは以前にも物件にしたことはあると思われる、樹木対タンクの激闘場面であります。
 パッと見、樹木がタンクに押されていて、ハラキリまでさせられてお手上げ状態になっているように見えるところでありますね。

 ただ、このハラキリ部分を裏側から見ると、白いカンバンを飲み込みそうになっているんでした。ちょっと写真が撮れなくて申し訳ないところでありますけれども。

 何年か前にこれを物件にしたときはそこまで確認していなかったのか、あるいはゆっくりとした戦いはまだ続いていて、その何年かで飲み込んだのか。
 それはわかりませんけれども、この壮絶な姿は我々の寿命が尽きたあとまで続くような気がするわけでした。

 新潟市西区。



 これは切断されているというわけでもないですけれども。樹木でもないし。
 ただ、これは一体何をしているんであろうかと、思ってしまうわけでした。

 ドアの前に置かれた半分の円筒。
 ドアは内側に開くような気がするので、開くのに邪魔にはならないのかもしれないですけれども。でも、出入りに邪魔になるような気はするところであります。

 これは、夜中にこっそり出入りしようとするものを転ばせようとする罠なんでありましょうか。真っ暗だと気づかないかもしれない。
 あるいは、この家に出入りする人に対して、青竹踏みをするようにこれを踏んで健康になってもらいたいという優しさなんでありましょうか。

 新潟市中央区。