聖剣物件



 岩に刺さった聖剣を引き抜くことができたものが勇者・英雄となる,というのはファンタジーものの王道でありますね。もう定番すぎて,それをどうアレンジするかということになっていたりするんでした。

 上の物件は何気ない住宅街の道路で見かけたものでありますけれども,「どうぞ抜いてください。あなたこそ真の勇者です」と言っているかのような風情なんでした。どうも剣ではなさそうでありますけれども。

 柄を見るからに,スコップでありましょうか。スコップの先端がここに入っているようには見えないですけれども,そのあたりが魔法のスコップなのかもしれない。

 でも抜けるのがスコップだとすると,勇者になるんではなさそうであります。
 抜いた瞬間に,まわりから黄色いヘルメットを被ったランニングシャツ姿の屈強な男たちがわらわらとたくさん湧いてきて「おめでとう!君は真の土木作業者だ!我々とあの現場で働こうぜ!」と腕をきめられて連れ去られてしまうのかもしれないんでした。

 しかし,ファンタジー世界では勇者のみが抜くことが出来る聖剣でありますけれども,あれはどういう仕組みになっているのかと思うところではあります。生体認証システムでありましょうか。

 現代にあったとして,重機とか持ってきて引き抜くこともできないんでありましょうか。刺さってる岩を砕くとか溶かすとか,反則なのかどうか。神様が天上から「それやっちゃだめよー」とか言ったりするのか。まぁ,そういうことやってる時点で勇者失格ではあると思いますけれども。むしろ魔王寄り。

 実はこれは刺さっているわけではなくて,こういう形の鈍器なのかもしれませんが。しれなくないか。


 オマケ。
 こちらは時折見かけることのある,埋没根っこ露出型カーブミラーであります(いまテキトーに名づけた)。
 これはどういう経緯でできるものなんでありましょうか。もともとカーブミラーのあったところに壁を作るのか,カーブミラーを作らなければならなくなったけれども場所が狭いので埋め込まざるを得ないのか。そのとき,根っこ部分は壁からはみ出させないといけないのかどうか。

 あるいはやはり「このカーブミラーを引き抜けた者が勇者である」というたぐいなんでありましょうか。
 しかし,単に岩に刺さってるよりもこの方が抜きにくいかもしれないでありますね。
「ここ,人んちだしなぁ。手荒にできないよなぁ。曲がってるからそのままじゃ抜けないしなぁ」ということで。
 まぁ,カーブミラーを引き抜こうとする者もいないような気はしますけれども。少なくとも勇者様は抜きには来ない気がするんでした。

「聖スコップ」は加茂市・寿町あたり。
「聖ミラー」は新潟市西蒲区・越前浜あたり。